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オートファジーって?オートファジーで手に入れる究極の健康長寿「SWITCH」【要約】

2021年8月12日

こんにちわ!じまろーです。

オートファジーで手に入れる究極の健康長寿「SWITCH」
ジェームズ・W・クレメント著

著者である、ジェームズ・W・クレメント氏は、106歳以上の健康長寿者の調査・分析をした「スーパーセンテナリアン研究」で世界的に有名です。

その著者が、健康長寿のために書き上げた本書は、数多くの長寿者のデータなどから、健康長寿のための方法を導き出していて、説得力があります。

この本は、下のような疑問をお持ちの方におすすめです。

こんな方におすすめ

  • 健康長寿を実現したい。
  • 長寿者の食事ってどんなもの?
  • 健康にいい食事法は、分かっているけど、実行するのは難しいので説得してほしい。
  • 健康長寿を手に入れる方法を知りたい。

  

本書の内容はずばり「健康長寿を実現するためには、オートファジーをONにしよう!」ということです。

さっそく、オートファジーの説明からはじめましょう。

  

オートファジーとは?

オートファジーは、ここ10年ほどの間に急速に研究が進み、様々な生命現象や生理機能に重要であり、種々の疾患とも深く関連することが明らかにされてきました。

オートファジーとは

我々の体を構成している細胞が備える主要な分解機構の一つ。

細胞内で損傷・老化して有害な影響をもたらす細胞小器官や粒子、細胞内細菌を取り除き、再利用する方法のこと。

「オートファジー」という単語は、ギリシャ語で「自分自身を食べること(自食)」を意味する。

2016年には、東京大学栄誉教授である大隅良典教授が、オートファジーのメカニズムを解明した功績によりノーベル賞を受賞しています。

オートファジーには、免疫系を強化し、がんや心臓病、慢性炎症、変形性関節症、うつ病や認知症などの神経変性疾患の発症リスクを大幅に低下させる効果があります。

オートファジーをONにするには「mTOR(エムトア)」と呼ばれるたんぱく質の働きが抑制される必要があります。

mTOR(エムトア)とは

mechanistic Target Of Rapamycinの略で、たんぱく質複合体のこと。

mTORは、ほぼすべての細胞が持ち、次のように作動する。

  • mTORの働きが抑制 = オートファジー起動。
    脂肪を燃焼させるだけでなく、細胞内に生じた有害物質や増殖しようとしているガン細胞を除去。
  • mTORが活性 = 細胞の成長モード起動(オートファジー抑制)
    たんぱく質の生産、エネルギーの蓄積、細胞の形成などが促進。

現代人は、mTORが絶えず活性した状態、つまり成長モードにあるため、オートファジーが起動せず病気にかかりやすくなっている、といいます。

もちろん、成長や発達期、ケガからの回復時、妊娠中や授乳中には、成長モードは大切です。本書では、「オートファジーをONにするタイミングは、中年期に差し掛かり、細胞の老化とDNAの突然変異が蓄積することによってがんになるリスクが高まり始めた頃には、はじめましょう」と書かれています。

では、このオートファジーを起動するにはどうしたらよいかというと、成長モードに入らないようにすることと、細胞にある程度のストレスを与えるということです。

具体的には下のようなものが挙げられます。

オートファジー起動するには

  • 高脂肪、高食物繊維、低糖質で、たんぱく質を最小限に抑える。
  • カロリー制限
  • 間欠的断食(16時間)
  • 運動

また、オートファジーを起動し続けると効果は減ってしまう(収穫逓減の法則)ため、定期的に休ませることも必要と述べられています。つまり、ある一定の期間は成長モードに切り替えることが必要ということです。

オートファジーを抑える期間

1年のうち、8か月オートファジーをON。残りの4か月はオートファジーをOFF。

  

長寿者たちのライフスタイル

ここからは、本書で紹介されている、健康長寿をまっとうしている人たちのライフスタイルを紹介します。これらを知ることで、ますますオートファジーの力に確信が持てます。そして、その確信がライフスタイルを変えるための背中を押してくれます。

沖縄県人

沖縄県人は1970年くらいまで、世界で一番の長寿を誇っていました。

また、平均すると人生の97%の期間を身体に障害のない状態で過ごしていたとのことです。

また、日本の本土など別の地域に移住することで、健康上の利点はすぐに失われてしまうことから、その長寿は遺伝的な要因とはあまり関係ないということが分かっています。

その興味深い沖縄県人の伝統的な食事というのが下のようなものです。

沖縄県人の食事

  • 低GIの野菜をたくさん食べる(総摂取カロリーの73%!
  • 豆類(豆腐・味噌)の摂取量が多い。
  • 水産物を適度に食べる。
  • 肉類、肉製品の摂取が少ない。
  • 乳製品の摂取が少ない。
  • 適度な飲酒。
  • カロリー摂取量が少ない
  • 魚からオメガ3脂肪酸を多く摂取している。
  • 飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の比率が高い。
  • 低GIの炭水化物を多く摂取している(さつまいも)
  • 果物の摂取量が少ない。
  • たんぱく質の摂取量が少ない
  • 食物繊維の摂取量が多い。

伝統的な沖縄料理はたんぱく質の含有量が特に低い(1日に約39g)だそうです。

また、当時の沖縄の人々の1日のカロリー摂取量は約1780kcalで、一般的な成人の推奨摂取量よりも11~15%少ないとのこと。

カロリーが少なく、たんぱく質が少ない。野菜からカロリーをとるために糖質も少なくなってオートファジーが起動しているんですね。沖縄伝統料理に興味津々です。

本書で紹介されている沖縄百寿者研究について書かれた本「オキナワ式食生活革命」。こちらも要約させてもらっています。

沖縄の百寿者研究から学ぶ健康長寿の食事法「オキナワ式食生活革命」【要約】

1970年代、沖縄は世界で最も長寿の人たちが住む島でした。欧米では65歳以後の老後につきものの疾患や老化のプロセスを沖縄人は克服してしまっているようでした。その理由は、沖縄の食生活をはじめとした沖縄文化が根っこにあるのではないかと、研究された結果をまとめた本です。

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アトス山の修道士

ギリシャに、がんや心臓病、アルツハイマー病とほぼ無縁の修道士がいます。寿命もギリシャ人の平均よりも10年も長い。

彼らの食事は下のようなものです。

アトス山の修道士の食事

  • 地中海式の食事を1日に2度とる。
    • 朝食は、固いパンと紅茶のみ
    • 夕食には、魚とパン、豆、自家栽培の果物や野菜、チーズと卵、そして赤ワイン。
  • 週に3日は菜食という形の断食をする。

カロリー制限と、間欠式断食がオートファジーを起動させています。 

  

原始人・狩猟採集民の食事

狩猟採集民の食べ物といえば、「パレオダイエット」が有名で、基本は、高品質のたんぱく質と脂質が豊富な食べ物、旬の野菜、豆類、果物、ナッツ類なでおで、精製・加工された糖質と砂糖はほとんどなく、乳製品は皆無。というものとなります。

狩猟採集民の食事は、肉でしょ。って思いますよね。動物性たんぱく質がメインではないの?と。

でも本書では「狩猟採集民は、たんぱく質より脂質を好んだ」と、あります。

狩猟採集民のが脂質を好んだわけ

  • 1gあたりのカロリーが高い。(たんぱく質は4kcal、脂質は9kcal)
  • 大型の動物には、骨髄や臓器、脳、臓器周りに多くの脂肪があり、やわらかく食べやすい。火を通していない赤身肉は噛んで消化するのが難しい。
  • 一定の時間内に処理できるたんぱく質量に限界がある。

  

ホッキョククジラの生態

長寿者ではないんですが、長寿生物のホッキョククジラの話がおもしろいです。

体長20mにもなるホッキョククジラは、地球上の哺乳類で最も寿命が長いと言われています。捕獲された48頭を調査したところ、174歳と213歳の個体がいることが分かりました。

ホッキョククジラは、がんにならないと言われています。その理由は下のような生態にあります。

ホッキョククジラの生態

  • 寒い冬は、食べ物にほとんどありつけない。エネルギーの大部分を、体の脂肪を分解してつくったケトン体とオートファジーから得る。
  • 海中深く潜水し、20分から1時間も息を止める → 低酸素状態 → オートファジー活性(mTORは酸素が必要)

間欠的断食と、低酸素状態がオートファジーを活性化させているんですね。

  

ハダカデバネズミの生態

ハダカデバネズミも長寿です。他のげっ歯類マウスは、寿命2~5年なのに対して、ハダカデバネズミは30年も生きます。

ハダカデバネズミのすごいところは、がんを発症させることができないというところです。放射線照射や発がんウィルスの投与など、他のねずみは100%がんを発症しで死亡してしまうが、このネズミだけはそれらの影響を自然治癒させ、がんが一切発症しないそうです。

そんなハダカデバネズミの生態は以下のようなものです。

ハダカデバネズミの生態

  • 巣穴はにぎゅうーぎゅうに重なり合って換気不十分で低酸素状態。
  • 乾季には、食べ物不足になる。乾季は、土が固く食べ物を探せない。

と、いうようにこのネズミも低酸素状態なうえに、間欠的なカロリー制限と、長期的な断食を繰り返すためにオートファジーが活性化し、老化を遅らせ、寿命が伸ばせていると考えられます。

  

オートファジーをONにする方法

ここまで見てきて、オートファジーを効率よくONにして健康長寿を手に入れたいと思っていただけたのではないでしょうか。

本書に書かれている具体的な方法を紹介します。

食事に関して

著者が1年間のうち8か月間、オートファジーを誘発する状態をつくるためのガイドラインを示してくれています。

オートファジー誘発ガイドライン

  • 精製した糖質を避ける。
  • 野菜をたくさん食べる。
  • 動物性たんぱく質(卵、乳製品含む)の摂取を大幅減(オメガ3豊富な魚は除く)
  • 一価不飽和脂肪酸を多く含む脂質を摂取する(アボカド、マカダミアナツなど)
  • 朝食はできるだけ抜き、前の晩から続く断食時間を長くする。
  • 1週間のうち、たんぱく質を抑える日(1日25g以下)を連続させずに3日設ける。
  • 1か月~3か月に1度、まずは1日から断食を実践する。
  • 自然の摂理に従う。夏の終わりから秋のはじめにかけて日光を多く浴び、糖質や果物、肉を多く食べ始める。冬に入る直前に体重を増やし、冬の間は頻繁に断食を行ってケトーシス状態に入る。

自然の摂理に従うってところは、わたしにとって新しい情報でした。現代は、季節によらず食の量や食べるものも変わりませんよね。しかし、よく考えると、狩猟採集民時代から、冬は食料が少なくなり、春、夏に多くの食糧を得ることができるってのは、当然の自然の摂理ですね。納得です。

そして、新しい「ケトーシス状態」という言葉がでてきたので、説明します。

ケトーシス状態とは

糖質を12時間以上とらないでいると、体内に蓄えられたグルコースとグリコーゲンが使い果たされ、体内に貯蔵された脂肪が燃焼され始める。そうなると、肝臓はケトン体と呼ばれる代替の燃料を生成する。ケトン体が血中に増えると「ケトーシス状態」になる。

断食したときや、長時間睡眠でグルコースを使い果たしたとき、激しい運動をした後などに誰でも軽いケトーシス状態を経験している。

ケトーシス状態は、人間にとってごく自然な状態であるだけでなく、非常に健康的な状態である。

  

運動に関して

運動は、筋肉組織と脳細胞のオートファジーを活性化させることが分かっています。

マウス実験では、マウスを30分走らせるとオートファジーが40~50%増加し、ランニングが80分間になるまで増え続け、80分で100%増加したとのこと。

理想的な運動は、有酸素運動、筋肉トレーニング、ストレッチをバランスよく組み合わせた総合的トレーニング。

また、座りすぎに注意とのことです。

睡眠に関して

研究によって、睡眠不足、特に良質の眠りを妨げる断片的な睡眠は、オートファジーの作用を妨げることが分かっています。実際、オートファジーは睡眠中にも起こることがある。

睡眠については他の本でも紹介されていた方法と概ね同じです。

睡眠の質の高め方

  • 決まった時間に就寝・起床(就寝前のルーチンづくり)
  • 就寝前から眠る準備(リラックス、ブルーライトカット、温かい風呂)
  • 寝室をい清潔で神聖な場所に(静かで平和な場所にする。整理整頓し、電子機器はNG。照明は薄暗く)

睡眠については、下の記事で詳細にまとめていますので、興味のある方はご覧ください。

ベストセラー睡眠本6冊を読んで、実践すべき睡眠法とは。

こんにちわ。じまろーです。 夏が来ていますね。寝苦しい夜が増えてきています。夏は特に睡眠の質が下がるのではないでしょうか? ぐっすり眠りたいですよね。朝、目覚めて「おぉ、寝た、これは寝た!」と満足した ...

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安らかな眠りは、ストレスを和らげます。ストレスは健康に甚大な害をもたらします。睡眠だけでなく、ストレスをコントロールする方法を探すことも怠らないでね。って書かれていますので、こちらも忘れずに。

  

まとめ

いかがでしょうか?

大変興味深い内容でした。

以前要約させていただいた「無病法 極少食の威力」にもつながるカロリー制限の有効さが証明されていますよね。

確度高く健康になれる健康法。「無病法 極少食の威力」ルイジ・コルナロ【要約】

若い頃に暴飲暴食にあけくれ30代から45歳まで病で生死の淵をさまよった筆者が、極少食を実践することで102歳まで元気にくらし昼寝したまま息を引き取るまでの生活を書いた自伝です。健康のヒントがちりばめられています。

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最後にもう一度、オートファジーをONしする方法をまとめてみます。

健康長寿への道

  1. 低糖質、高脂質、低たんぱく質の食事。つまりカロリーは脂質から摂取。
  2. 特にたんぱく質は、1週間で3日25g以下の日を設定する。
  3. 間欠的断食。朝食抜いて16時間の断食時間を確保。
  4. カロリー制限無病法を参考にしたら1000kcal。沖縄県の伝統的な食事を参考にするなら、1780kcal。
  5. 断食の実践。自然の摂理に従うなら冬に実践。
  6. オートファジーは休みの期間もつくる。
  7. 運動も忘れない。
  8. 睡眠も大切。
  9. ストレスのコントロールも大切。

朝食抜きの半断食は実践中なのですが、完全な1日断食は経験がありません。どきどきしますが、ここまで言われたら、やってみるしかないと重い腰を上げる気持ちになっています。

菜食断食か、1日1食から挑戦します。

  

まだまだ紹介しきれていない話が多くありますので、興味のある方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。

  

また、健康長寿に関する書籍としては、「LIFE SPAN」も大変ためになります。こちらも要約もさせてもらっていますので、ご興味のある方はどうぞ。

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