ノンアルコール

安心・安全なノンアルコールビールのためにビールの原材料を整理しよう。

2024年4月18日

こんにちわ!じまろーです。

ノンアルコールのわたくしが、おいしいノンアルコールビールを追い求める上で、あまりにもビールのスタイルの多さの壁にぶち当たることになりました。ピルスナーからスタウト、ヴァイツェン、IPAなどなど、それ以外にも数多くあります。

それぞれ、どういうビールなのか調べていくと、ビールの原材料につながっていきます。そこで、まずは原材料を整理することにしました。

今回、参考にさせていただいた書籍は下のものです。

この記事は、こんな方におすすめ

  • ビールの香りや味をつくる原材料を知りたい。
  • ノンアルコールビールで、おいしいのを探している。

  

ビールの原料

ビールの基本的な原料は下の4つだけです。

ビールの基本的な原料

  • 麦芽(モルト)
  • ホップ
  • 酵母

1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世という人が制定した「ビール純粋令」においても、「ビールは、麦芽・ホップ・酵母・水のみを原料とする」とされています。

  

麦芽(モルト)

麦芽(モルト)

発芽しはじめた麦を乾燥させたもの。

麦は発芽することにより酵素を作る。この酵素は、麦のでんぷんを糖に変える。その糖に酵母が働いてアルコールに変換される。

ビールの材料となる麦は大麦がほとんど。その中でも二条大麦が日本を含め多くの国で用いられている。

麦芽(モルト)の種類には乾燥の方法で大きく2つに分けられます。温風で乾燥する焙燥とロースターで焦がす焙焦という方法があり、それぞれ乾燥温度が違います。下に示すのが、乾燥温度の違いによるモルトの種類です。

  • 焙燥モルト(温風で乾燥)
     ピルスナーモルト:85℃
     ペールエールモルト:85℃~90℃
     ウィーンモルト:90℃~100℃
     ミュンヘンモルト:100~110℃
  • 焙焦モルト(ロースターで焦がす)
     クリスタルモルト:120~160℃
     チョコレートモルト:200~220℃
     ブラックモルト:220℃
     ローストバレイ:220℃~230℃

乾燥の温度を高くすると、麦芽は色が濃くなっていきます。このモルトの色がビールの色を決定します。

ローストされたモルトを使用したビールは、黒ビールと呼ばれ、香ばしい香りや焦げた苦みをビールに与えます。

麦芽の原料はほとんどが大麦ですが、ヴァイツェンのような小麦ビールは、小麦麦芽を50%以上使用したビールになります。
ビール純粋令が制定された16世紀、小麦は貴重な食糧であったため、麦芽には大麦が使用されました。ただし、王侯貴族のブルワリーにのみ小麦麦芽の使用が許可されたため、小麦ビールは貴族のビールと呼ばれることになったそうです。

ビールの歴史もおもしろいです。

  

ホップ

ホップ

アサ科アカラハナソウ属のつる性の多年生植物。収穫期には10m近くに成長し、雌株には松かさのような房をつける。この房がビールの原料となる。

この房の中にあるルプリンと呼ばれる黄色くて小さな粒が、ビールの苦みと香りの源

防腐作用、食欲増進、消化促進、入眠・安眠、鎮静、利尿作用などの効果がある。

元々、ビールにはホップ以外にもスパイスや薬草が使われていましたが、ホップの苦みがモルトの甘味と絶妙のバランスであったことからホップが定着したと言われています。

ビールの苦みは、ローストしたモルトがもたらす苦みと、ホップがもたらす苦みがあり、それぞれの苦みの違いを感じながら飲むのもおつなものですね。

そして、このホップには多くの品種があります。ビールのために開発された品種もあり、その品種の数だけビールもあるということです。

HOP VARIETY LIST(CRAFT BEER GEEKS) こちらのサイトでホップの種類をリスト化されていますが、あまりの多さに驚きます。

 

酵母

酵母

酵母とは、菌類の中の真菌類に属する単細胞生物。ビール酵母の形は球形や楕円形で、大きさは5~10μm。

麦のでんぷんが糖に変わり、その糖を酵母が食べて、アルコールと二酸化炭素とさまざまな副産物を造り出す。

ビール酵母は大きく上面発酵と下面発酵の酵母に分けられます。上面発酵は、発酵中に酵母が浮いてくるためにこう呼ばれ、下面発酵は発酵の最終段階で、酵母がタンクの底に沈むため、こうう呼ばれます。

 上面発酵酵母
(エール酵母)
下面発酵酵母
(ラガー酵母)
特徴フルーティな香り
奥深い味わい
冷やしすぎはNG
シャープな飲み口
すっきりした味わい
透き通る淡色
冷やすとおいしい
発酵温度16~24℃4~10℃
発酵期間短い(3~6日)長い(6~10日)
ビール
タイプ
エール
ヴァイツェン
IPA
スタウト
など
ピルスナー
アメリカンラガー
ミュンヒナー
ドルトムンダー
など

日本の大手メーカーが造るビールはほとんどが下面発酵のラガービールとなります。

また、上面発酵と下面発酵のビールがほとんどですが、自然発酵のビールというのがあります。

これは培養管理されていない自然の酵母を利用します。ふたのない冷却槽に麦汁を入れ、一晩中放置し、空中を浮遊する野生酵母を自然に取り込んで発酵させます。さらに木樽で長期間熟成させることで木樽に宿る酵母も利用して複雑な風味のビールができるそうです。

これはベルギーのランビックという名前のビールです。ランビックのンアルコールビールなんてできたら、飲んでみたいですね~。

YEAST STRAIN LIST(CRAFT BEER GEEKS) 酵母もこちらのサイトで紹介されています。

  

当たり前のことながら、ビールにはきれいな水がかかせません。

しかし、それだけではありません。水の硬度がビールの味に影響します。

硬水軟水
ビールの色を濃く、味わいを深くし、
ダークラガーやペールエールに向いている。
ビールの色を淡く、味わいはシャープ
ピルスナーやライトラガーに向いている。

チェコのピルゼン市では、1842年にミュンヘンの技術者を呼び、ビールをつくったところ、濃いビールができると思っていたら淡い黄金色のすっきりしたビールが出来上がりました。これは、ミュンヘンの水が硬水であるのに対し、ピルゼンの水が軟水であったために同じ方法でも違うビールができたということです。これがピルスナービールとなりました。

日本でピルスナーのような淡い黄金色のビールが普及した理由のひとつに、日本の水が軟水だからというのがあるかもしれませんね。

  

まとめ

いかがでしょうか?

材料は4つだけと言っても、それぞれの組み合わせでいろいろな香りや味わいのビールができるということです。

  • 麦芽(モルト)の種類と乾燥方法
  • ホップの種類と投入量
  • 酵母の種類
  • 水の硬度

ドイツではこの4つの材料で造られていますが、日本では、副材料として、米、とうもろこし、ばれいしょ、でんぷん、糖類、着色料、苦味料などの使用が認められています。

糖類としてはコーンスターチ、着色料としてはカラメル、苦味料としては、ホップ抽出物などが挙げられます。

しかし、できれば純粋に4つの材料の組み合わせの妙で出来上がったものを味わいたいですね。それこそ造り手の苦労を感じて何倍にもおいしく感じるのではないでしょうか。

そして、ここまで苦労と愛をかけて造られたビールから、アルコールを抜いたものがノンアルコールビールです。

アルコールを抜くことで、味わいや香りの変化が起こります。おいしいノンアルコールビールを造るというのは、とても大変な作業だと思います。だからこそ、上の4つの材料だけで造られたおいしいノンアルコールビールに出会うと、最高に感動しますね。

今までは、ピルスナーのノンアルコールビールを多く飲んできました(日本で入手できるノンアルコールビールはほとんどが、淡色ですっきりしたピルスナー系がほとんど)が、最近、ホップの効いた上面発酵ビールもおいしいのでは?ということに気付きました。

上面発酵ビールの深い味わいと、ホップの苦みと香りが、ノンアルコールとなっても、そのまま引き継がれるのだと思います。

下の記事では、ドイツから持ち帰ったノンアルコールビールを紹介しています。

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次は、日本で手に入るおいしい上面発酵のビールを飲み比べてみたいと思っています。

  

 

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