こんにちわ!じまろーです。
以前、固く誓った健康体への気持ちが、たるんでいるなぁと感じる今日この頃。
もう一度、ぎゅっと気持ちを引き締めるため、手に取った本がこちらです。
チャイナ・スタディ 葬られた「第二のマクガバン報告」
T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル著
本書は、800ページを超える分厚い本で、読む前に気持ちが萎えそうになりますが、なんとも驚きの事実が記載されていて、がんがん読み進められます。
そして、本書では、あいまいな結論ではなく、ずばっと「健康にはこれ!」と答えが書かれています。
その前に軽く概要を説明します。
T・コリン・キャンベル
コーネル大学栄養生化学部名誉教授。40年余りにわたり、栄養学研究の第一線で活躍「栄養学分野のアインシュタイン」と称される世界的権威。300以上もの執筆してきた論文の中でも、本書にもとになっている「チャイナ・プロジェクト」は、「健康と栄養」に関してこれまで行われた研究のうちで、最高峰とされるものである。
題名だけ見ると、中国の話?って思いますよね。いいえ、違います。
これは、中国の壮大な研究「チャイナプロジェクト」から取った名前なのです。
チャイナ・プロジェクト
1970年代初め、中国の周恩来首相がガンで死にかけていた。末期の状態で身動きできない中、首相は、この病気の情報を収集するため、中国全土に及ぶ調査を開始させた。それは、2400余りの郡とその住民8億8000万人を対象とした「12種にわたるガン死亡率」に関する途方もない調査だった。
この調査の結果が美しく色分けされた分布図に描かれ、どの地域に特定のガンのタイプが多く、また、ほとんどガン患者が存在していない地域はどこか、といったことが示された。その中でガンの罹患率が100倍も差のある地域が存在した。
その結果を元に著者が、中国全域の食生活、ライフスタイルを調査し、統計的に「食生活」「ライフスタイル」「病気」の関連性を明らかにした一大プロジェクトのこと。
いやぁ、このプロジェクトの結果から導き出した答えと思うだけで、この本の説得力が増し増しですね。
この本は、下のような思いをお持ちの方におすすめです。
こんな方におすすめ
- 健康の最適解は?
- シンプルに実施できる健康法が知りたい。
- 病気と無縁の生活が送りたい。
本書が提示する「真実」
あなたは、下のような疑問への回答に確信がもてますか?
- 農薬を避けて、オーガニック食品を買うべきか
- 環境化学物質はガンの根本的原因か?
- 遺伝で健康は決まるか?
- 炭水化物、脂肪の摂取量に、もっと気を付けるべきか?
- ビタミン剤はとるべきか?
確信が持てないのではないでしょうか?
本書が提示する「真実」はこうです。
- 環境や食品の化学物質は、ガン発症の主たる原因ではない。
- 両親から受け継いだ遺伝子は、病気の犠牲になるかどうかの最も重要な要素ではない。
- 炭水化物、脂肪などの栄養摂取をうまくコントロールしても、それは長期間にわたる健康にはつながらない。
- ビタミン剤や栄養剤のサプリメントは、長期にわたる病気予防の効果を与えない。
- 「やがて遺伝子研究の成果が薬による病気治癒を可能にする」という期待は、今すぐ可能で強力な解決策を無視している。
いやぁ、ずばっときますね。
この「今すぐ可能で強力な解決策」というのが、「正しい栄養」です。
本書では、ガンだけでなく、心臓病、生活習慣病などの進行を抑える方法として説明されていますが、ここでは、一番衝撃的だった、ガンに関する研究と結論に絞って紹介します。
ガンの原因は「動物性たんぱく質」
動物性タンパク質とはつまり、肉、卵、牛乳、魚などに含まれるタンパク質です。
動物性タンパク質がガンの原因とされる根拠は下のようなものです。
フィリピンの子供たちに発症するガン
著者は、フィリピンで子供たちが多く肝臓ガンにかかるのを知りました。原因を調査するうちに、子供たちが摂取するピーナッツバターに高濃度のアフラトキシンが含まれていることにたどり着きました。
当時、フィリピンで販売されているピーナッツバターは、つまみ用として質の良いピーナッツを抜き取られ、もっとも質が悪くかびの生えているピーナッツが使われていました。近所の食料品店で買ってきたピーナッツバターの瓶すべてにアメリカの許容される量の300倍ものアフラトキシンが含まれていたそうです。
アフラトキシンとは、カビ毒の一種で、発がん性があるとされています。下の記事でアフラトキシンについて説明をしていますので、お時間がある方はご覧ください。
かび毒が心配なら、カフェインレス(デカフェ)コーヒーは、メジャーメーカー製品にするべき理由。
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そしてさらに分かった事実が、「肝臓ガンになる子供は、食事がきちんと与えられている裕福な家庭の子供である」ということです。その裕福な家庭の子供たちは「肉」の入ったアメリカ人の食事と似たようなものを食していたのです。それは、最も高タンパクの食事をしている子供たちが肝臓ガンになるリスクが最も高いということを現していました。
ネズミのタンパク質摂取の研究結果
ネズミを2つのグループに分け、一方のグループには、ガンを引き起こすアフラトキシンを投与し、そのあと、タンパク質量が総摂取カロリーの20%に調整したエサで育てられました。この20%の比率は決して多すぎる量ではなく、欧米に住む成人が摂取している量に近いとのことです。
もう一方のグループは、同量のアフラトキシンを投与され、タンパク質量の比率をわずか5%に調整したエサで育てられました。
その後、20%タンパク質食のネズミはどれも皆、肝臓がんかその前駆病変を起こしましたが、5%タンパク質食のネズミは1匹として、肝臓がんや前駆病変にはならなかったのです。なんと「100対0」の結果だったのです。
次に10のグループに分け、アフラトキシンの量を増加させながら投与し、20%のタンパク質量と5%のタンパク質量のエサで育て、「病巣」という腫瘍に成長していく前駆細胞群の反応を観察しました。
病巣とは
ガンの形成直後に現れるガン様の小さな細胞群で、腫瘍の成長を予測するもの。
その結果は、下のグラフです。
「病巣」の成長は、アフラトキシンの摂取量に関係なく、ほぼ完全にタンパク質の摂取量に深く関わっていたのです。
低タンパク質の食事は、どれだけアフラトキシンをネズミに投与したかに関係なく、ガンの発症を予防しました。
また、ガンの発症が確認されたあとでも、低タンパク質の食事にすると病巣の成長は激減し、また高タンパクの食事に戻ると、病巣の成長が再開しました。
要するに、食事に含まれるタンパク質は、ガンに及ぼす影響があまりにも強いため、タンパク質の摂取量を変えるだけで、ガンの増殖を「ON」にしたり「OFF」にしたりすることができるのです。
どれくらいのタンパク質なら摂っていいのか?
次の疑問は、どれくらいのタンパク質量で病巣が成長を開始するのか?ってことです。
タンパク質量を4%から20%の範囲で与えて病巣の成長を観察しました。その結果が、下のグラフです。
タンパク質量10%までは病巣の成長はありませんでした。10%を超えると、タンパク質量の増加にともない「病巣の成長」は激増しました。
この実験の最も重大な発見は、「動物がその体の成長に必要な食事タンパク質の量を満たしたときか、その量を超えたときに、病気が始まる」ということです。
ここで気になるのが、ネズミの必要タンパク質量が10%だとしても、人間のタンパク質量は10%なのか?ということです。
著者のキャンベル博士は、「ネズミと人間のタンパク質必要量/推奨量は、ほぼ同じである」と、数十の研究と6つの動物実験から結論しています。
ここから判断すると、私たち人間の病気の始まる総摂取カロリーに対するタンパク質量は10%と考えることができます。
平成19年の厚生労働省の調査(国民健康・栄養調査結果の概要)では、日本人のタンパク質量は、総摂取カロリーの15%となっていて10%越えです。
タンパク質の種類にかかわらずNGなのか?
次の疑問は、どんなタンパク質も病巣の成長を促進させるのか?というものです。
その疑問については、動物性タンパク質として「カゼイン」と、植物性タンパク質として「グルテン」をエサとして与えて観察しました。
カゼイン
牛乳タンパク質の約80%を占める動物性タンパク質。すべての必須アミノ酸を適当に含んでいるので栄養的に重要なタンパク質である。
その結果が、下のグラフです。
小麦タンパクのグルテンでは、たとえ同量の20%を与えても「カゼイン」と同様の結果を引き起こすことはなかったのです。
また、大豆タンパク質(ソイ)でも同様の実験を行い、20%の大豆タンパク食を与えたネズミは、20%小麦タンパク質の場合と同じように病巣を形成することはありませんでした。
つまり、植物性タンパク質では、たとえ高レベルの量を摂取したとしても、ガンの増殖を促進するようなことはないということなのです。
チャイナ・プロジェクト
キャンベル博士の実験で、「カゼイン(動物性タンパク質)は、アフラトキシン投与後のネズミに対し、きわめて強力なガン促進物質となる」ことは明らかとなりました。
しかし、ここでのさらなる疑問が出てきます。
さらなる疑問
- 他のガンや、他の発がん性物質でも動物性タンパク質の影響は当てはまるのか?
- 人間でも同様に当てはめることができるのか?
ここで、出てくるのが、冒頭で説明した「チャイナ・プロジェクト」の結果なのです。
まず「中国では相対的にガンがアメリカより一般的ではない」という大きな事実があります。
それは、下の「中国・アメリカ・日本の食事摂取量比較」の表を見れば明らかです。
中国人の総摂取カロリーはアメリカ人よりも多く、脂肪とタンパク質は少ない。動物性タンパク質はずっと少なく、食物繊維がずっと多い、という内容となっています。
中国人の動物性タンパク質の総摂取量の割合が0.8%って驚きでしょ。これは、前で説明した動物実験の結果と一致しますよね。
中国人の食生活はアメリカ人とはかなり違っていますが、中国国内だけで比べても病気の罹患率、臨床的な測定値、食事摂取量には、大きなばらつきがありました。例えば、コレステロール値では2倍の違いや血中脂肪は約3倍、脂肪摂取量では約6倍、食物繊維摂取量では約5倍の違いがあったのです。
詳細は割愛しますが、キャンベル博士は、地域ごとの食生活と病気の罹患率を比較し、追加調査することで、健康を導く食生活の結論を導いています。
その中で、動物性タンパク質の摂取量の多い家系にガンが多いことが確認されました。
チャイナ・プロジェクトの結論
本記事では、ガンに焦点をあてて説明しましたが、本書では心臓病や糖尿病、自己免疫疾患などあらゆる疾患に関して検証されています。
それらの結果から、キャンベル博士が導き出した結論は以下のものです。
結論
プラントベース(植物性食品)で、ホールフード(未精製・未加工)の食事
この食習慣は、抜群の健康状態、および心臓病・ガン・肥満など多数の欧米風の病気の最低限発症率と一致しているとのことです。
チャイナ・プロジェクトの結果は、「摂取する動物性食品の割合が少なければ少ないほど、健康効果が高い」ことを示しています。
そして、キャンベル博士は、チャイナ・プロジェクトのあと、ベジタリアンになりました。
まとめ
いかがでしょうか?
「動物性たんぱく質を減らすことが病気を遠ざける」というのは、他の多くの本でも紹介されていて、わたしの中でかなりの信頼性があります。
1つは、オートファジーを発動させる方法です。オートファジーについて知りたい方が、下に「SWITCH」を要約させてもらっていますので、ぜひご覧ください。
オートファジーって?オートファジーで手に入れる究極の健康長寿「SWITCH」【要約】
著者である、ジェームズ・W・クレメント氏は、106歳以上の健康長寿者の調査・分析をした「スーパーセンテナリアン研究」で世界的に有名です。そんな著者がオートファジーとは。オートファジーをONにする方法を分かりやすく説明されています。
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問題は、実行できるか?だけです。少なくとも、肉と牛乳を減らしていくという思いはありますね。
1日の総摂取カロリーに占める動物性タンパク質の割合を10%以下というのは、比較的維持できるレベルです。
日本の成人男性の1日の必要摂取カロリーを2200kcalとすると、2200kcalの10%は220kcalです。これをタンパク質gに換算すると、220kcal÷4kcal=55gとなります。
つまり、1日の動物性タンパク質の摂取量を55g以下にすることが目安です。
動物性タンパク質55gとは
- 牛肉モモ/豚肉ロース/鶏モモ(焼き)なら200g程度。
- 鶏ムネ(焼き)なら160g程度
- サバ(焼き)なら220g程度
わたしは、タンパク質は体にいい!と肉は鶏ムネをメインに食べていたので、1日160gを超えることもザラでしたね。今後気を付けないと・・・。
本書を読んで、タンパク質は植物性でとっていきたいという気持ちになりました。つまり、豆腐、納豆、ブロッコリーやホウレンソウなどの野菜からのタンパク質です。これって、つまり日本の伝統的な食事です。
上の「SWITCH」でも紹介されている沖縄県人の伝統的な食事と一致します(沖縄県人は、肉、乳製品の摂取が少なく、大豆を多く食べ、タンパク質摂取量は少ない)
やっぱり、日本食はすごいです。そして、健康食への思いを強くしました。
本記事で紹介できた内容はほんの一部です。なんせ800ページ越え。まだまだ驚きの真実が書かれています。
興味をある方は、ぜひお手に取って読んでみてください。