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長寿地域と短命地域の違いは、たった3つの食べ物「奇跡の令和食」【要約】

2022年2月20日

こんにちわ!じまろーです。

今回、紹介させていただく本は下の本です。

著者が、WHO(世界保健機関)の研究で、30年間かけて25か国61地域を周り、食と健康状態を調査された結論をまとめた本となっていて、説得力がありまくりです。

長寿地域の食については、いろいろな本で紹介されていますが、短命地域の食について紹介されているのが興味深く、一気に読ませていただきました。

遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」(2021年)
家森幸男著

著者:家森幸男氏

1937年生まれ。京大医学部卒業後、数々の医学部教授歴任。1985年からWHOの「循環器疾患と栄養国際共同研究」という、30年間かけて、25か国、61地域で、合計2万人以上の血液と尿データを集める。

1998年、予防栄養学への貢献により紫綬褒章受章。日本脳卒中学会賞、米国心臓学会賞、日本循環学会賞、ベルツ賞、杉田玄白賞など受賞。

この本は、下のような思いをお持ちの方におすすめです。

こんな方におすすめ

  • 長寿地域と短命地域の違いが気になります。
  • 現在の長寿No.1の地域の人が食べているものは?
  • 結局、何を食べたらいいですか?

  

長寿地域と短命地域の違い

世界には、長寿地域と短命地域が存在します。

その違いが、どういったものなのか気になりますよね?それを著者は30年間世界を飛び回って調査されたのです。

  

沖縄から移住した人たち

沖縄の人たちは、世界中に移住しています。移住先によって長寿になる地域と、短命になる地域があり、それは、沖縄の人の生来の遺伝子などの要因でないことを現しています。それは、主に食習慣の違いが大きいと考えられます。

ハワイ・ヒロ地域(長寿地域)

ハワイのヒロ地域は、沖縄を超え長寿地域となっています。

ハワイのヒロ地域に移住した人の食生活は、現代の沖縄よりも沖縄食であったとのことです。主に豆腐などの大豆食品、新鮮な魚介類(ポキなど)、新鮮な野菜を多く摂取していました。

そして、年中新鮮な果物や魚が採れるので、食品を保存するために塩を使う必要がなく、必然的に適塩量となっていたとのことです。

アヒポキ

カンポグランデ(短命地域)

ブラジルのカンポグランデに移住した沖縄の人たちは、50代前半の4人に1人が高血圧で、研究当時、日本人よりも17年も平均寿命が短かったといいます。

食生活は、肉が安いため、大量の肉をシュラスコなどの脂の落ちない調理法で、濃い塩分で食べる習慣があり、大豆は家畜のえさとして、ほとんど人は食べていなかったとのこと。脂と塩分の組み合わせは最悪とのことです。

  

新疆ウイグル自治区(中国)

新疆ウイグル自治区は、中国の西端にありますが、長寿地域と短命地域がはっきり分かれている地域です。

トルファン・ホータン地方(長寿)

トルファン・ホータン地域は、ウイグル族が住んでいる砂漠のオアシスで、イスラム教を信じています。検診の結果が素晴らしく100歳以上の高齢者がはつらつと暮らしています。

食生活は、野菜・果物を大量に摂取し、羊の肉をシシカバブのように脂を落として調理し味付けはスパイスを使用するために塩分が少ないというものでした。そして、ヨーグルトが多く食べられていました。

アルタイ地方(短命地域)

アルタイ地方は、アルタイ山脈の山奥で、カザフ族が遊牧生活をしています。検診の結果、血圧が高く50代で脳卒中になるケースも珍しくなく、60歳以上の人をあまり見かけないそうです。

食生活は、羊の肉を脂身の部分もそのまま食べられており、遊牧生活とあって、野菜や果物はほとんど食べられていないそうです。そして、「バター茶」というバターと塩をたっぷり入れたお茶を常飲していました。

  

中国・貴陽

中国の南西部に位置する貴州省の首都、貴陽は、昔から長寿地域として知られています。

貴陽(長寿地域)

検診の結果、脳卒中、心臓死が少ないだけでなく、ガン発症も少ないことが分かりました。

食生活は、主食が大豆ととうもろこしです。大豆を厚揚げや納豆などあらゆる大豆加工品を食しているそうです。また高原地帯で畑がないのですが、山菜を食することで、野菜の栄養分を摂取していました。また、プアール茶を多量に飲む文化も良いとのことです。

  

オーストラリア・アボリジニ

アボリジニは、オーストラリアの先住民です。

アボリジニ(短命)

研究当時、平均寿命が、男性56.9歳、女性が61.7歳で、オーストラリアの平均寿命に比べて20年も短かったのです。肥満率が非常に高く、20代ですでに3人に1人が糖尿病だったそうです。

食生活は、都会に住むアボリジニはファストフードを食べていました。ハンバーガーなどの高脂質、高カロリーのものを食べ、野菜はほとんど食べていませんでした。海岸部に住むアボリジニで、魚を食べる習慣のある人は、肥満が少なく元気な高齢者も残っていたとのことです。

元々は、豊かな食生活であったアボリジニですが、18世紀以降移り住んできた入植者が、彼らの生活を一変させました。

  

長寿地域からの陥落

もともと、長寿として知られていた地域が、食生活の変化で長寿でなくなるということが、世界中で起こっていいます。

グルジア、コーカサス地方

黒海に面する東ヨーロッパのグルジア。

コーサカス地方

1985年、100歳以上の高齢者割合が沖縄よりも多い地域でした。

コーサカス地方では、冬季が寒いため、塩分摂取量が多いです。また、日本人の1.5~2倍の肉を食べています。しかし、長寿でした。

食生活は、野菜をふんだんに食べていて、肉は脂を落とす調理法、また淡水魚のマスが多く食べられていました。そして、なんといっても「ヨーグルト」を朝も昼もたっぷり食べていたのです。

ヨーグルトは、カリウム、マグネシウムを含むため、塩分の摂りすぎを打ち消してくれます。

現在では、コーサカス地方の人たちは、都会で暮らすようになったことで、牛を飼わなくなりました。そのため、ヨーグルト摂取量が激減しています。結果、平均寿命が、72.6歳と日本よりも10歳も短くなっています。

  

タンザニア、マサイ族

1986年当時、高血圧の人は、ほとんどいませんでした。

マサイ族

主食は牛乳です。塩分摂取は、牛乳に含まれるものくらいで、ほとんどゼロ。検診した当時は1日2.5g程度で、世界中のどの地域よりも塩分摂取量が少なかったとのことです。

現在では、肉に塩をかけて食べているそうです。以前、高血圧の人がゼロを誇っていたマサイ族も、今では12%の人が高血圧症となっているそうです。

  

現在、世界一の長寿地域はどこ?

世界の伝統食が失われてい、長寿地域が消滅していく中、2000年代に入ってから、ぐんぐん平均寿命を延ばし、ついに世界一の座に輝いたのが「香港」です。

香港の平均寿命は、2019年データで、男性が 82.34歳、女性が 88.13歳となっています。

日本の平均寿命は、男性が 81.41歳、女性が 87.45歳です。

平均寿命の国際比較(令和元年簡易生命表の概況):厚生労働省

香港が世界一の長寿となった理由は以下のような理由と説明されています。

香港が長寿世界一の秘訣

  • 「食は広州にあり」というくらい、食文化レベルが高く、食材は新鮮なものにこだわっている。
  • 温暖な気候で、野菜、果物、魚介類が豊富。
  • 豆腐や豆乳といった大豆食品を日常的に摂取している。
  • 年中新鮮な食材が手に入る地域は、保存するために塩を使用する必要がないため、減塩となる。
  • ビルや坂が多い立地条件が、必然的に歩く量が増えて良い。
  • 儒教の教えにより、お年寄りは敬われ、大切にされている。

香港では、食習慣に加えて、運動習慣、さらに家族に敬われるという「心の栄養」が長寿を支えているんですね。

お年寄りを敬う文化というのは、長寿地域に必須ですね。以前、翻訳させていただいた「オキナワ式食生活革命」でも、沖縄ではお年寄りが大切にされていることが、長寿を作っていると書かれていました。

  

世界中の食から分かった3つの「S」

そして、世界中をめぐって、著者が導き出した結論は、3つの「S」から始まる食品です。

SALT(減塩)

食塩を摂りすぎている地域では、明らかに脳卒中による死亡率が上がることが分かっています。

1日の摂取量が7gを下回ると、脳卒中の死亡率は、ほとんどゼロになるそうです。また、塩分は、胃がんとも相関があり、心臓病、腎臓病、骨粗しょう症なども増加させます。

塩分を打ち消す食べ方

この「食塩の害」を打ち消してくれる栄養素があります。その筆頭が「カリウム」です。

塩は塩化ナトリウム、うまみ調味料は、グルタミン酸ナトリウムと、ラーメンなどの加工食品を食べるとナトリウムの過剰摂取にすぐなってしまいます。その過剰なナトリウムを体外に排出する働きをしてくれるのが、カリウムなのです。その働きをナトリウムポンプといいます。

ナトリウムポンプ

細胞内にナトリウムが入りすぎると、細胞は細胞内のナトリウム濃度を一定に保つために水を取り込もうとします。(ラーメンを食べた後にのどが渇くのはそのせいです)水を取り込んだ細胞は、パンパンに膨らみますが、これが血管で起こった場合、血圧が上昇します。

動物の体は、ナトリウムが増えすぎると、強制的にナトリウムを排出しようとします。その際、ナトリウムをカリウムで置き換えようとするのです。これを「ナトリウムポンプ」と呼びます。

つまり、カリウムを十分摂取していたら、ナトリウムポンプがうまく働いて、血圧も正常値になるということです。

カリウムの多い食品

いも類(さつまいも)や野菜類(ほうれん草、カボチャ)、果物(特にバナナ)、ナッツ、乳製品、大豆・大豆食品、魚に多く含まれます。

  

SEAFOOD(魚)

調査結果を分析して、魚を食べる習慣のある地域では、肥満、高血圧、高脂血症の割合も少なく、心臓死も少ないことが分かりました。

魚に含まれる長寿栄養素は、数多くありますが、下の3つが紹介されています。

  • タウリン
  • EPA,DHA
  • 良質なタンパク質

タウリン

長寿の栄養素と言われています。アミノ酸の一種で、アジ、サバ、ブリ、カツオ、イカ、タコ、カニ、カキ、ハマグリ、シジミに多く含まれています。

血圧を下げる、ストレス緩和、コレステロール値下げる、インシュリンの分泌助ける、肥満防止、肝臓の働きを良くするなど、数多くの効果ありです。

1日必要摂取量を摂るためには、魚を1日80~100g(タウリン量を魚の量に換算)食べればいいそうです。

EPA/DHA

魚の魚油でオメガ3脂肪酸です。

血液サラサラ効果があり、血管が詰まるのを防いでくれます。また中性脂肪やコレステロールを抑える作用もあり、肥満を防ぎ、心筋梗塞を予防してくれます。

魚を1日100g、日常的に食べている人は、十分なオメガ3脂肪酸が血中にあることが分かっています。

1日の魚の摂取量は、タウリンで80~100g、EPA/DHAで100gとほぼ一致します。つまり、1日にだいたい1切れの魚で摂取可能な量です。

また、フィッシュ&チップスなどのように揚げた上に塩をかけて食べるような食べかたは、魚の良い効果が打ち消されるそうでなので注意してください。

  

SOY(大豆)

3つ目の「S」は大豆です。

大豆には、タンパク質、脂質、炭水化物だけでなく、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、リン、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸など多種多様な栄養素が含まれています。さらに、悪玉コレステロールを低下してくれる大豆レシチン、抗酸化作用を持つ大豆サポニンといった成分も含まれています。

1つ目の「S」で説明したとおり、減塩の切り札である「カリウム」や「マグネシウム」も含み、塩分の害を打ち消してくれます。

その中でも特筆すべき栄養素は、「イソフラボン」です。

大豆イソフラボン

フラボノイドの一種で、女性ホルモンに似た働きをすると言われています。

イソフラボンの健康増進効果は、血圧を下げる、心臓病予防、更年期障害の症状を抑える、骨粗しょう症予防、乳がん・前立腺がんの予防、ほとんどのがんの死亡率を下げる、肌を若々しく保つ、など多岐にわたります。

  

まとめ

いかがでしょうか?

長寿地域と、短命地域の食生活にはっきりと分かるサインがありますよね。

わたしにとって、かなり説得力があり、腹落ちしました。

3つの「S」は、「減塩」「魚」「大豆」です。

著者は、「適塩で3年、大豆・魚で7年、健康寿命を延伸できる」と言っています。

この3つは、いろんな書籍で紹介されている要素だと思いますが、この3つだけとなると記憶に残りやすく実践しやすいですよね。

日本に住む私たちには、簡単に手に入るものたちです。新鮮な野菜や魚が手に入る日本に住んでいる幸運に感謝です。

そして、納豆、豆腐、魚は、私の好物でもあります。うれしい限り。

本書を読んで、わたしが実践する「令和食」は、これです。

  • 納豆1日、1.5パック食べる。
  • 野菜、果物を多く摂る。その際、カリウム摂取量を考える。
  • 2日に1回は、魚を食べる。
  • 揚げ物と塩のコンビは最悪ということを忘れない。
  • 大豆、魚は良いからと、食べ過ぎることは厳禁。腹八分。

  

本書では、まだまた著者の令和食の実践例など、今回紹介できなかった話が満載です。ぜひ本書を手に取って読んでみて下さい。

  

 

  

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