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「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」人生を変えた名著【要約】

2021年4月2日

 こんにちは!じまろーです。

スタンフォードのストレスを力に変える教科書
ケリー・マクゴニカル著

私は、体調をくずしているときに出会い、この本に救われました。

まず最初に、一つの衝撃的な研究結果を紹介します。

1998年に、アメリカで3万人の成人を対象に行われた調査で、ストレスに関する質問をし、8年後にその参加者の生存率を確かめました。
その結果は、下の通りだったとのことです。

  • 強度のストレスがある場合には、死亡リスクが43%も高まっていた。
  • ただし、死亡リスクが高まったのは「ストレスが健康に悪い」と考えている人だけだった。
  • 「ストレスが健康に悪い」と考えていなかった人には、死亡リスクの上昇は見られなかった。
  • 「ストレスが健康に悪い」と考えていなかった人は、ストレスがほとんどない人たちよりも死亡リスクが低かった。

どうでしょうか?
このような研究結果が、この本のいたるところに散りばめられており、これらの結果が、この本の内容に説得力を持たせています。
すべての研究結果や実験を紹介するのは難しいので、この本の内容を一番理解するためには、この本を読んでいただくことです。
しかし、読む時間がない、本を読むのが苦手だという方にも、ぜひこの本の内容を知ってもらって、ぜひ人生を変えてもらいたいと思って要約しました。

誤解などないように丁寧に理解できやすくまとめていきますので、ぜひお付き合いください。

この本の言っていること

この本の言っている「ストレスを力に変える方法」をじまろー的に40文字にまとめると

ストレスを知り、恐れるに足らないと思い込むだけで、ストレスは敵から味方に変わる

ということです。

この内容を、下の2章に分けて説明されています。

  1. ストレスを見直す ⇒ ストレスを知り、マインドセットを変える
  2. ストレスを力に変える ⇒ エクササイズを実践する

この2つの内容を、それぞれ多くの研究結果を例にして、解説してくれているのがこの本です。

個人的には、1つ目の「ストレスを見直す」が、とても大切な内容だと思います。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

ストレスを見直す①⇒ストレスを知る

ストレスを見直すということは、ストレスがなんたるかを知ることです。
ストレスを知ると、「ストレス恐れるに足らず」ということが分かってきます。

私は、このストレスといったものを大きく誤解していたことに気付かされました。
ストレスを正しく理解するために、3つの項目にまとめました。

  • ストレスホルモンとは?
  • ストレス反応とは?
  • ストレスはどうやって悪者になったのか?

この3つを知ることで、ストレスとはどういうものか、そしてなぜここまで悪者になったのかが分かります。

ストレスホルモンとは?

ストレスを理解するには、まずストレスホルモンについて知る必要があります。

ストレスホルモンには、主に下の2つがあります。

  1. コルチゾール
    • 体と脳がエネルギを使いやすい状態にする。
    • 消化や成長など、ストレス時にあまり重要でない生物的機能を抑える
  2. DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
    • コルチゾールの作用を抑制し、免疫機能を高める

この2つのストレスホルモンは、ストレス反応によって、どちらかが多く分泌されます。
どちらが多く分泌されたかによって、長期的なストレス(慢性ストレス)の場合に心身に影響が出ます。

  • コルチゾールの割合が多い
    • 免疫機能の低下やうつ病の発生
  • DHEAの割合が多い
    • 不安症、うつ病、心臓病、神経変性などの病気のリスクの低下

できることなら、コルチゾールより、DHEAの割合が多いストレス反応にしたいですね。
それでは、次にそのストレス反応とはどういうものかを見ていきます。

ストレス反応とは?

ストレス反応とは、ストレスを感じたとき、それに対抗するために、わたしたちの体内でストレスホルモンやアドレナリンが分泌される体の反応のことです。ストレスが多い状況に対処するためにおこります。

これまで、ストレス反応は、ストレスと同じように害になると考え、最小限に抑えるべきだと思われてきました。
しかし、実際にはそれほど悪いものではなく、それどころかさまざまな点で困難な状況にぶつかったときに最大の味方になってくれるものであることが分かってきました。

それでは、どういうふうに味方になってくれるのかについて、見ていきましょう。

ストレス反応は主に3種類あり、どの反応が起こるかで体に起こる生物学的な変化が異なります。

①闘争・逃走反応
  • ストレス反応のひとつで、コルチゾールの割合が高くなります。
  • 交感神経系が活性化し、五感が研ぎ澄まされ、脳は情報を急速に処理します。
  • その反面、ストレス時にあまり重要でない消化や生殖機能といった生物的機能を抑え、免疫機能も低下し、大量出血をしないように血管は収縮します。

これにより、いわゆる「火事場の馬鹿力」のような力を発揮できるのです。

この「闘争・逃走反応」を一言でいうなら
短期的な命の危険を感じるようなストレスに驚異的なパワーを発揮する反応
です。

この反応は、古代狩猟採集民の時代では、猛獣の危険から守るためにはかなり有益であり、この反応のおかげで人類は生き延びたのかもしれません。
しかし、わたしたちが生きている今現在、命の危険を感じるような状況はそう多くないはずです。

②チャレンジ反応
  • ストレス反応のひとつで、DHEAの割合が高くなります。
  • 自信が強まり、進んで行動を起こし、経験から学ぼうとします。
  • 集中力は上がるが、恐怖は感じません。
  • いわゆる「フロー」の状態(自分のやっていることに没頭している状態)にある人は、この「チャレンジ反応」が明確に表れます。

この「チャレンジ反応」を一言でいうなら
プレッシャーを感じるようなストレスに対して、最高のパフォーマンスを引き起こす反応
です。

③思いやり・絆反応
  • ストレス反応のひとつで、「抱擁ホルモン」と呼ばれるオキシトシンを生じさせる。
  • オキシトシンは心臓細胞の再生や、微小損傷の修復につながります
  • 勇気が強まり、進んで人の世話をし、社会的な関係を強化しようとします。
  • あなたが回りの人を助けようと決心するとき、体はいつでも「思いやり・絆反応」を発動します。

この「思いやり・絆反応」を一言でいうなら 
ストレスを感じた際に大切な人やコミュニティを守りたいという気持ちが高まり、勇気が湧く反応す反応
です。

この3つのストレス反応は、状況によってはそれぞれ大変役にたつものです。
長期的にかかるストレスに対してだけは、「闘争・逃走反応」は出てこないでくれ~。
ってところです。

ストレスはどうやって悪者になったのか?

1936年、ハンガリーの内分泌学者:ハンス・セリエは、ラットに苦痛を与えることで、ラットが消化器潰瘍発生、免疫不全、やがて死亡することを発見しました。
セリエはもともと医者で、さまざまな病気で関係ない症状を多くみてきた経験から、ラットの反応と人間の説明できない症状をつなげ、ストレスというものを「ストレスとは外部からの刺激に対する体の反応」とラット実験から考えると、かなり広範な枠組みで定義しました。
これにより、外傷などだけでなく、行動や適応を要する日常的なできごとも含まれることになりました。

その後、セリエはストレスの普及活動に専念し、この普及活動によって、世界中の人々にストレスは有害だと信じ込ませることになったのです。

セリエの主張は、全面的に間違いではありません。
しかし、ラット実験の電気ショックや溺れさせたりといったストレスと、人間が受ける日常的な刺激を同じくくりとするのはあまりにも短絡的であるとしか言いようがありません。

ストレスを見直す②⇒ストレスのマインドセットを変える

ストレスのことをよく理解したら、マインドセットを変える作業です。

マインドセットとは?

マインドセットとは、これまでの経験や教育、先入観から作られる思考パターンや思い込み、価値観、信念など固定化された考え方のことです。
これまでの人生で、記憶、誰かの言葉、思いがけない状況によって、自分の中の思い込み(マインドセット)が強化されてきています。
それは、例えば、「テレビで誰かが言っていた」「教科書に載っていた」「そう信じれるようなことを目の当たりにした」「尊敬するあの人が言っていた」など、そんなことの繰り返しでマインドセットは形成されていきます。

ストレスに対してもこのマインドセットが人それぞれに形成されています。

  • 「ストレスが害」のマインドセット
    • ストレスに向き合おうとせず、原因を考えない
    • ストレスを紛らわすために酒などに逃げる
    • ストレスの原因となっている人間関係や役割、目標に対して、目を背ける
  • 「ストレスは役に立つ」のマインドセット
    • ストレスを感じたら事実を受け止め、現実として認識する。
    • ストレスの原因や対処についてしっかりと考える。
    • サポートやアドバイスを求める

と、いうものです。

あなたはどちらでしょうか?
私は完全に前者でした。
私のこれまでの人生で、確固とした「ストレスは害になる」マインドセットが形成されていました。

そんな強化されてきた「ストレスに対するマインドセットを変えることができる」とこの本は言っているのです。

「いやいや、まず、そんな簡単にストレスに対する考え方を変えれないし、もし変えられたとしても思い込むだけでは、何も変わらないでしょ?」
と思うかもしれません。

ストレスのマインドセットを変えるには?

ここで、一つの実験が紹介されています。
ある研究室の大学生を2グループに分け、圧迫面接を実施しました。その面接の前に1つのグループには「ストレスにはよい効果がある」という3分間のビデオを観てもらいました。
もう1つのグループには「ストレスは心身を消耗させる」という3分間のビデオを観てもらいました。
そして、圧迫面接のあとにストレスホルモンの「コルチゾール」と「DHEA」の割合を測定しました。
その結果、「ストレスにはよい効果がある」というビデオを観た参加者の方が、「DHEA」の分泌量が多かったのです。
たった3分のビデオで効果が出たのです。

これが、マインドセットを変える方法です。
「え?これだけ?」っていうくらい簡単なことですよね。

つまり、ここまで読んでいただいているあなたも、少しでもストレスに対する考えが変わっているなら、すでにストレスに対する体の反応も変化している可能性があるということです。

次の章では、ストレスを理解した後は、実践篇です。

ストレスを力に変える ⇒ エクササイズを実践する

この章では、「ストレスに強くなる方法」を具体的なエクササイズとともに紹介されています。
前の章で説明されていたマインドセット介入を効率よく行うためには、「ストレスを力に変える」エクササイズをすることが大切です。

理解+練習。
これによって、ストレスに対抗できる体ができあがるのです。

エクササイズは下の5つです。

不安を受け入れる

  • 不安を受け入れることで、困難にうまく対処できるようになり、体の反応までもが、典型的な闘争・逃走反応から、勇気を生み出す反応(チャレンジ反応/思いやり・絆反応)に変化します。
  • 不安を感じても、それを無理に打ち消そうとしてあせってはいけません。

ポイント

不安を感じたときに「これは興奮しているしるしだ」と自分に言い聞かせる
緊張や不安で落ち着かないときは、「これは私にとって大切な意味があることだ」と教えてくれていると考える。

人助けをする

  • あなたが回りの人を助けようと決心するとき、体はいつでも「思いやり・絆反応」を発動します。
  • 日常的に周りの人の手助けを行っている人びとには、ストレスによる死亡リスクの増加がみられないとのことです。

ポイント

1日にひとつ、誰かの役に立つ
行き詰ったときに、毎日していること以外に、誰かのためにできることを探してみる。

「自分の目標」を「自分よりも大きな目標」に変える

  • 自分の価値を証明しようと躍起にならず、自分よりも大きなものに貢献するという考えを持つことです。
  • この場合、脅威反応がほとんど起こらないことが分かっています。

ポイント

ストレスが大きくなっていると感じたら、人生や仕事において、自分のためでなくもっと大きなものに貢献するという考えで目標を立ててみる。
自分が周りの人や世の中にどのように貢献したいか自分自身にたずねる。

他人も同じ苦しみを持っていることを理解する

  • 自分だけが苦しいと思わないことです。
  • 「誰の人生にもつらいことはある」ことを知っている人は、幸せを感じやすく、レジリエンスが高く、人生に対する満足度も高いとのことです。

ポイント

まず自分が感じている苦痛(痛み、悲しみ、不安、怒りなど)を見つめてみる。
次に「こういう苦しみは人間なら誰でも経験するのでは?」と考える。
同じ苦しみを感じている人を思って、自然と思いやりが湧いてくるのを感じる。

逆境の中で良い面をみつける

  • ストレスを受けた経験が人を成長させます。
    あなたの人生を思い返して、一番成長したと思えるときは、同時にストレスも大きかったのではないでしょうか?
  • 逆境の中にも、よい点や得るものがあると考えることが大切です。

ポイント

今現在の困難な状況の中で、得たものはなかったか考える。
例えば、
・人生がかけがえのないものだと思うようになった。
・精神的な成長を遂げた。
・社会的なつながりや、周りの人との関係が深まった。
と、いったようなものです

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ここまでの内容をまとめると、下のようになります。

まとめ

  • ストレスを理解しましょう!
  • ストレスの正しい理解が、マインドセットを変えます!
  • 練習すれば、よりストレスに強くなれます!

と、いうことです。

この本では、ストレスを好きになりなさいとは言っていません。
「ストレスは害にもなるが、ならないときもある」と言っているのです。
全面的に良いものにになることはありませんが、あなたのストレスへの考え方、ストレスの受け止め方によっては、これまでストレスに対して無力な状態から脱出することができるのです。

わたしは、この本でいろいろな気づきと希望と勇気をもらいました。
思い返せば、以前、仕事などから長期間ストレスを感じる時期があったのですが、そのときに「チャレンジ反応」ではなく「闘争・逃走反応」がでていただんだと思います。
それにより、わたしの体の中で、DHEAではなくコルチゾールが大量分泌され続けて、消化器の働きが低下して体調悪化を招いたと、ストレスと体調不良の点と点が線となって、すっと腹落ちしました。

「病は気から」ならぬ「ストレスは気から」という言葉を胸に日々、ストレスを力に変えるエクササイズをしています。

あなたにとっても、この本が少しでも力になればと思っています。

 

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