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ゲノム解析でわかった日本人の体質。特徴的な6つを紹介。

2022年9月23日

こんにちわ!じまろーです。

地中海食がいい。低糖質がいい。いや、やっぱり和食がいい。いや、いったい何を食べればいいの?って思いますよね。 

GO WILD 野生の体を取り戻せ」は、下のように主張しています。

我々人類が地球に現れてから、90%以上の時間、狩猟採集民として生きてきており、まだ我々の身体はその時代のままなのだ。だから低炭水化物食を食べよう。

食と健康の1億年史」の主張は、下のようなものです。

伝統食は何世紀もかけて、栄養バランスのいい、おいしくて健康的な料理法の数々を考え出した。それに何百年、何千年も、その地域特有の食事を続けることで、そこで暮らす人々の身体は、徐々にその食事に適応してきた

どちらも下の記事でまとめていますので、興味のある方は読んでみてください。

うーん、どっちなのでしょう。

その答えとなるのがゲノム解析です。ゲノム解析の技術進歩により、人種や国籍、性別などによる遺伝子データの違いを比較ができるようになっています。

ゲノムとは

DNAの文字列に表された遺伝情報すべてのこと。

それを元に、日本人である私たちの遺伝子はどういう体質をつくっているのかについて、まとめられているのが下の本です。

日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた(2022年)
奥田昌子

この本を読むことで、私たちは日本という環境に適応するよう、過去1~2万年のあいだに遺伝子を変化させたことが理解できます。

 

この記事は、下のような方に向けて書いています。

こんな方におすすめ

  • 健康になるために何を食べたらいいの?
  • 日本人の体質って特徴はあるの?
  • ゲノム解析で、何が分かった?

ゲノム解析で分かった日本人の体質

ゲノム解析でわかった日本人の体質を特徴的なものを6つピックアップして紹介します。

日本人の特徴的な体質

  • 酒に弱い
  • 内臓脂肪をためやすい
  • 動脈硬化になりにくい
  • 胃は穀物を食べるようにできている
  • 海藻に含まれる食物繊維を分解できる
  • 乳糖を分解する力が弱い

 ひとつずつ簡単に説明します。

  

酒に弱い

お酒を飲むと、アルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質に変わります。アセトアルデヒドは遺伝子に傷をつけてがん化を招く有害物質です。

このアセトアルデヒドの分解力が低いタイプの遺伝子をもつ人が、日本人は約44%、中国にも41%いるのに対し、欧州系やアフリカ系には全くいない。同じアジアでもフィリピンは14%、インドは5%と、アジアの中でも東アジア人の特徴。

2020年に発表された日本人の17万人のゲノムをもちいた研究で、過去1~2万年のあいだに日本人は「酒に弱くなる方向」に遺伝子を変化させてきたことが分かりました。

なぜ、お酒に弱くなるように遺伝子を変化させてたのか? 本書では、この理由を下のように仮説しています。

この原因には、稲作が関係しているのではないか。水田は古い時代からさまざまな病原体の温床となっていた。酒に弱い体質は体内にアセトアルデヒドが分解されず長時間残るため、病原体が活動できない可能性がある。その結果、酒に弱い方が生きのびやすかったと考えられる。

日本でも古い時代は、マラリアが頻繁に発生してました。そのマラリアがより頻繁に発生した地域と、酒に弱い人の割合が多い地域が一致するというデータも紹介されています。  

  

内臓脂肪をためやすい

日本人を含む、東アジア人は内臓脂肪をためやすい特徴があります。過度な内臓脂肪は、高血圧や糖尿病、脂質異常症、乳がんなどの原因となります。

420人を対象にした研究では、日本人の腹囲が欧州系米国人より10cm小さかったが、同じ腹囲の人で比べると日本人の方が内蔵脂肪が多かった。

なぜ、内臓脂肪をためやすい体質となったのか?

それには、筋肉の付き方に関係していると言われています。

内臓脂肪は、臓器を固定し、体への衝撃から臓器を守ってくれる。
筋肉は、白筋と赤筋という2種類の成分が混じってできていて、白筋は瞬発力を発揮するのに対し、赤筋は持久力をもたらす。
この赤筋と白金の割合は遺伝子タイプで決まり、アフリカ人や欧米人は白筋の割合が多く、東アジア人は赤筋の割合が多い。内臓を支える筋肉は主に白筋でできているため、東アジア人は、それを補うために内臓脂肪がつきやすくなった

  

動脈硬化になりにくい

悪玉コレステロール(LDL)は、動脈硬化の原因となるが、日本人の悪玉コレステロールにはEPAやDHAが多く含まれているため、動脈硬化になりにくい

これは、伝統的に魚を食べてきたからと考えられます。

また、DHAやアラキドン酸(ARA)という成分は、脳の発達に必要な成分として知られており、いずれも動物性食品に含まれています。これらの成分は体内で合成できないと言われてきました。

しかし、FADS2という遺伝子の働きで、植物性油に含まれるαリノレン酸とリノール酸からDHAとアラキドン酸を合成できることが分かっています。

この遺伝子をもつ割合が多いのが、南アジア、アフリカ、東アジアの順であり、菜食に近い食生活が長く続いた日本では、54%の人がDHAとアラキドン酸を合成できる力が強い。

  

胃が穀物を食べるようにできている

日本人を含めた12か国の人の腸内細菌を比較した研究によると、

腸内細菌の遺伝子全体の約半分が日本人の腸にしかいない特有のものであった。その中には、穀物に含まれる炭水化物やでんぷん、アミノ酸をむだなく利用できる細菌も多数いることが分かった。

また日本人の胃の形も穀物の消化に適した形に変化しています。

日本人に多い形
欧州系の人に多い形

日本人に多い胃の形は、鉤状胃(こうじょうい)といい、縦長の形状をしている。
穀物は食物繊維が多いため、胃のぜん動によってどろどろになるまで砕き、十分に処理してから腸に送る必要があるが、胃の出口が高い位置にあり中央のくぼみに食べたものをしっかりためて消化できるようになっている。

欧州系の人に多い形は、牛角胃(ぎゅうかくい)といって、横長の形状をしている。肉食中心の場合は、脂肪とタンパク質はおもに小腸で消化されるため、胃での処理は手早く終えて腸に送り出せるようになっている。そのため、胃酸の量が日本人より約2倍多い。

  

海藻に含まれる食物繊維を分解できる

先述の腸内細菌の研究から下のことが明らかになりました。

約90%の日本人が、特殊な腸内環境を持っていて、海苔、ワカメなど海藻に含まれる食物繊維を分解できる

他の国の人では、最大15%だったとのことで、日本人の特徴的な体質と言えます。

  

乳糖を分解する力が弱い

日本人は、牛乳に含まれる乳糖を分解する力の弱い人が約90%にのぼる。

人以外の哺乳類は、乳離れすると、例外なく乳糖を分解する力は低下します。乳糖を大人になっても分解できる人は、チーズやヨーグルト、牛乳を摂取し続けてきた人と考えられます。

  

まとめ

いかがでしょうか?

日本人の特徴的な体質

  • 酒に弱い
  • 内臓脂肪をためやすい
  • 動脈硬化になりにくい
  • 胃は穀物を食べるようにできている
  • 海藻に含まれる食物繊維を分解できる
  • 乳糖を分解する力が弱い

日本の環境に合わせて、遺伝子、腸内細菌、胃の形まで変化させてきたのですね。この長い時間の流れに思いをはせます。

そして、大事なのは、日本の伝統食というものが、ゲノム解析でわかった日本人の体質にぴったり合っているということです。それはそうですよね、日本で古くから変わらず食べられてきたものが今のわたしたちの体質をつくっているんですものね。

日本の伝統食は、脂質が少なく、穀物や海藻が多い食事です。

ただし、日本人全ての人にあてはまるものではありません。日本人において割合が多い体質ということですので例外はあり注意が必要です。

こうなってくると、自分の遺伝子と腸内細菌叢などをもっと詳しく知りたくなります。

胃の形は次にMRIや胃カメラなどをする機会に先生に「わたしの胃の形ってどうなってますか」と、聞いてみようかと思います。

また、遺伝子検査や、腸内細菌叢の検査は、自宅からの郵送で簡単にできます。

  

遺伝子検査

価格は安くないですが、一度検査すると遺伝子研究の進歩に応じて解析結果が無償でアップデートされるというのはいいです。

また、祖先のルーツに興味があります。同じ日本人といっても、アイヌの人や沖縄の人と本州の人と大きく3つに分けられ、それぞれ日本に入ってきたルートが違うと言います。本州の人の多くは中国からです。またそれぞれ体質も微妙に異なることも分かっています。

  

腸内細菌検査

この価格で、自分の体にどんな腸内細菌がいるか分かるのなら、一度試してみてもいいなと思わせますね。

 

本記事で紹介したのは本書の一部です。日本人がなりやすい病気も紹介されています。ただし、遺伝子だけで病気になるというのは間違いで、生活習慣、特に食習慣で遺伝子の不利を補えるとも言われています。興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。

  

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