こんにちわ!じまろーです。
食と健康の一億年史
スティーブン・レ
読ませていただきました。
いろいろな食に関する健康本があり、それぞれ少しずつ書いてあることが違っていて、いったい何を食べればいいの?って分からなくなりますよね。
そんな疑問の解決に一役買ってくれるのがこの本です。
この本の主張は、下のとおりです。
”現代に数多くの健康問題が浮上してきたのは、祖先が守ってきた食習慣やライフスタイルを変えたことや、環境の変化が原因ではないか”
さらに著者はこう言っています。
”ヒトの栄養や健康の問題を、進化を理解せずに読み解こうとすることは、事情を知らずに他人の話を盗み聞きするようなものだ。-ほとんど意味が分からないか、大きな誤解につながる。”
と、いうことで見ていきましょう。
進化と食の関係
本書では、人類の進化と食の関係について詳細に調べられており、大変興味深いです。
それぞれの食物についての著者の主張をまとめました。
「果物」は日常摂取にむかない
- 我々の祖先は、6000万年前にビタミンCを合成する能力を失った。
- 4000~1600万年前までに、尿酸分解を助ける酵素をつくる遺伝子を失った。
ビタミンCに替わる抗酸化力(尿酸)が必要であったと考えれている。 - 人類は尿酸と戦う人生を選択した。つまり、大量のフルクトース(尿酸値を上げる)の日常的な摂取に不適合なカラダとなった。
若いときは、「肉」は控えめに
- 肉を摂取することにより、魅力的なからだをつくることができ、繁殖に成功しやすくなる。しかし、魅力的なからだは、長寿とトレードオフの関係にある。
- 地球上の長寿の人々の集団のいくつかは、高炭水化物、低たんぱく質の食事を伝統的に食べてきた。
- 肉や乳製品は、全身の成長を促進する一方、ある種のがんのリスクファクターとなる。
- 65歳以上は、肉を多く食べることはからだによい。
「乳製品」は祖先が食べてきていればOK
- 伝統的に牛乳を摂取してきた民族は、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)をもち、大人になっても牛乳を消化する能力を失わない。
- しかし、全体的には世界の3人に2人がラクターゼを生成する能力をもっていない。
「植物」は調理法が大事。
- 植物それ自体に、栄養的な価値はなく、人類本来の食糧源ではない。
- 地球上に大型哺乳類が絶滅したことにより、定住生活に移行する必要性から、植物を食べることになった。
- 植物は、それぞれ自己防衛のための防御機能をもつ。それは、ときに命を落とす毒となることもある。例えば、豆類は「レクチン」という化合物をもち、大量に摂取すると胃腸の不調や成長阻害、肝臓障害を招く。
- 植物がもつ防御機能を、われわれの祖先が、食べあわせ、下ごしらえ、調理法など工夫をこらして、食べられるようにしてきた。
結構、控えなければいけない食品が多いことに驚きです。
伝統食を食べる
また、著者はこうも言っています。
”何を食べ、何を避けるか、くよくよ考えるよりも、一番確実なのは伝統食を食べることだ。伝統食は何世紀もかけて、栄養バランスのいい、おいしくて健康的な料理法の数々を考え出した。それに何百年、何千年も、その地域特有の食事を続けることで、そこで暮らす人々の身体は、徐々にその食事に適応してきた”
長寿の人々が食べる伝統食
地球上の長寿の人々が食べる伝統食とは、どういったものなのでしょうか。
- イタリア半島の西に浮かぶサルディニヤ島
大量のパン、玉ねぎ、大根などの野菜、豆、ヤギの乳、ミネストローネ、そして赤ワイン - コスタリカのニコヤの住民
とうもろこしのトルティーヤと米、ラードで炒めた豆、茹でたバナナ、少量の肉と脂、目玉焼き、野菜、そして大量の果物 - 沖縄
米、野菜、さつまいも、豆腐、魚、そして酒
といった感じです。
長寿とされている地域の伝統食は、高炭水化物で、低タンパク質の食事であったことがわかります。
遺伝的適応の例
我々の祖先が長い時間をかけて食べ続けてきたものは、遺伝子がその食べ物に適応するように変化しています。
例えば、下のような例を挙げています。
- ヨーロッパ、東アジアで暮らす人は、でんぷんを分解する酵素をもっている。
- 日本人は、海藻を分解する酵素をもっている。
- 北欧、アフリカ、中東の遊牧民やインド北部では、乳(ラクトース)を分解する酵素をもっている。
- 乳製品を食べる習慣のないイヌイットは、カナダ食に変えると血中カルシウム濃度が危険なほど上昇する。
- マサイ族は、牛の肉と乳と血から、カロリーのほとんどを摂取しており、欧米人の平均的な摂取量の4~6倍にのぼるが、マサイ族の血中コレステロール濃度は、欧米人よりもはるかに低い。
世界中の人が同じものを食べてきたわけではないのですね。
つまりは、こういうことです。
ポイント
- 祖先が守ってきた伝統食を食べよう。
- 土地土地で、引き継がれてきた伝統食は違うので万人に合う伝統食はないよ。
健康に影響するライフスタイルの変化
ここまで、食に関してまとめてきましたが、著者は食だけでなく、ライフスタイルについても健康に影響していることを祖先のライフスタイルと比較して述べられています。
まとめると、下の2点です。
よく歩く
”運動していなかったり、身体を動かす努力をしていなかったりすると、どんな食事法を選んでも慢性病にかかりやすくなる。反対に、十分身体を動かしている人は、自由に食べていても慢性病を防げる。人は歩き回り、適度に身体を動かすように進化してきたからだ”
これは大事ですね。どの本にも運動の重要さは書かれています。
この本では、「座る時間は最長でも3時間にすることだ」と、ちょっと無茶なことも言われていますが、それくらい歩くこと、そして座らないことが大事ということなのです。
自分の肌タイプが必要とするだけの日光を浴びる
人類の祖先は長年にわたり日光を浴びてきた。そのことを何よりも明らかに示す証拠は、人の身体が日光を肌に浴びることによって、適量のビタミンDを合成するようにできていることだ。
気を付けることは、適量の日光を浴びるということで、週末だけとか、日焼けブースなどで日焼けするのではなく、1年を通して、偏りなく日と浴びることが最善であると言われています。
また、ビタミンDは摂取しすぎによって、前立腺がんや結腸がんなどのリスクを高めるので、サプリなどでの過剰摂取には気を付けてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
自分の祖先が食べてきたものに思いを馳せたくなったのではないでしょうか?
わたしは、より自分のルーツに興味がでてきました。
ばりばりの純日本人のわたしの伝統食は、米、みそ汁、野菜、魚、納豆、となるのではないかと思います。
上で説明している「遺伝的適応の例」より、日本人は、でんぷん消化の酵素と海藻の消化酵素をもつ可能性が高いです。
米が悪い食べ物と紹介される本も少なくないですが、米は食べていこうと自信をもてましたね。果物や肉、乳製品は少し控えてもよいかなと思っています。
本書には、これまで紹介してきた内容以外にも魚から、小麦、昆虫食にいたるまで進化との関係を紹介されています。
まだまだ紹介されていない話も多いので、ぜひ本書を手にとって読まれてみてはいかがでしょうか。