こんにちわ!じまろーです。
ストレスと戦っていますか。ストレスのない生活を送ることなんてなかなかできないことですよね。
そして、毎日をどのように過ごせば、少しでも楽しく、ゆったりと生きられるか、さらには、ストレスから病気になったりしないですむのかといったことが知りたいと思っているのではないでしょうか?
この本は、そんな方たちに向けた書かれた本です。
「ストレスに負けない生活」ー心・身体・脳のセルフケア
熊野宏昭著
本書は、早稲田大学で人間科学学術院教授・応用脳科学研究所所長で、ストレスによっておこる症状や病気の治療を専門に研究されている著者が、「ストレスの構造」「ストレスマネジメント」について分かりやすく説明されています。
著者は、臨床に認知行動療法やマインドフルネスを積極的に用いられています。
この本を読むと、ストレスというものが、かなり理解できます。それほど文字数は多くないのですが、めちゃくちゃまとめられていて、かなり内容が濃いです。
そんなすでにかなりまとめられている本書を、より簡単にまとめさせていただきました。
この本は、下のような疑問をお持ちの方におすすめです。
こんな方におすすめ
- 「ストレス」って何?
- 「ストレス」をコントロールすることはできますか?
- どうやったらストレスから病気にならないようにできますか?
- 瞑想や、マインドフルネスは「ストレス」に効くの?
ストレスとは?
ストレスとは?
ストレスと一言で言っても、実はいろいろな概念が含まれていて、それを私たちは、すべて「ストレス」という言葉で表現しています。
「ストレスが大きい」のストレスと、「ストレスがたまる」のストレス、そして、ストレスがたまったときに心身にでる影響のストレスは概念が違うのです。
それを、下の3つに区別しています。
- ストレッサー
「ストレスが大きい/強い」という言い方をするもので、状況の厳しさや、負担の大きさなど - ストレス
「ストレスがたまる」という言い方をするもので、自分の中に起こる「変化」 - ストレス反応
ストレスがたまったときに、イライラしたり、胃が痛くなったりするような心身の問題。
これを簡単にしたものが下図です。
私たちの心身の全体をゴムボールとイメージしたときに、「ストレッサー」は外部からの圧力、そして圧力によって生じた凹みが「ストレス」、ストレスに対して、内側から押し返して元に戻ろうとする作用が「ストレス反応」と考えることができます。
分かりやすいですよね。
そして、私たちの身体や心は、常に一定のバランスを保とうとする調整機能が働いているのです。それを「ホメオスタシス(恒常性)の維持」と言います。
ホメオスタシスとは
身体や心が、自動的にちょうどよい(健康な)状態に保たれるよう調整されること。
ストレスがたまった状態が続くと、この微妙なバランスが崩れてしまい自動的に立て直せない(病気の)状態になってしまいます。
ストレスの構成要素
同じストレッサーにさらされても、ストレスがたまりやすい人もいれば、まったく平気な人もいます。
それはなぜでしょうか。
上図はストレスの構成要素を図にしたものです。
同じストレッサーを受けても、体質的な個人差、心理的な個人差、日常の生活習慣の個人差などの要因によって、ストレッサーに対する強さ・弱さが変わります。
そのため、ストレス反応として出てくる身体面、心理面、行動面の問題も変わってくるのです。
ストレスには2種類ある
本書では、心疾患とパーソナリティの研究が、数多く紹介されており、そのどれもが行動パターン、パーソナリティ傾向が大きく2つのグループに分けられるという結果となってます。
それは、ストレスは大きく「頑張る系」と「我慢する系」の2種類のストレスに分けられるということです。
そして、その2つを他の研究で使われている呼称を使って、「頑張る系=タイプA」、「我慢する系=タイプC」と呼んでいます。
頑張る系のストレス
「頑張る系」のストレス状況では、積極的な対処を摂る必要があります。 例えば、制限時間内に計算問題をたくさん解くような課題です。
積極的な対処の場合、交感神経が活力を増して血圧が上昇します。つまり、心臓疾患系の身体的ストレス反応が認められます。 また、脳の情動的な働きをする部分の血流が低下します。
タイプAは、冠動脈親和性パーソナリティとなります。
我慢する系のストレス
「我慢する系」のストレス状況では、他のことを考えたりしながら、ひたすら耐えるような回避的な対処を取る必要があります。 例えば、家の隣の工事がうるさくて仕方ないが、他に行くわけにはいかないといった状況です。
回避的な対処の場合、副交感神経が活力を増して、落ち込み・不安などの心理的ストレス反応が起こります。 また、脳の認知的な働きをする部分の血流が低下します。
タイプCは、ガン親和性パーソナリティとなります。
ガン親和性って怖い響きですね。では、どんなパーソナリティがタイプA,タイプCに分類されるのでしょうか。
パーソナリティ傾向診断
ここでは、自分のパーソナリティ傾向を判断する評価項目が挙げられています。
それぞれの項目で、一番多かったものが自分のパーソナリティ傾向であると考えられるとのことです。
タイプAとタイプCと、健康なパーソナリティも合わせて紹介されています。
タイプA
- いつも決まった人たちのせいで、自分の進歩や成長がじゃまされている。
- 特定の人たちが、自分を不幸にする最大の原因となっている。
- いつも決まった状況のせいで、自分の進歩や成長がじゃまされている。
- 特定の条件や状況が、自分を不幸にする最大の原因になっている。
- 自分を不愉快にしている人たちや環境を変えることができず無力感を感じる。
- いつも人や物事の嫌な面ばかり見せられているように思う。
タイプC:ガン親和性
- 自分自身の考えを主張するよりも、むしろ他人の意見に同調しがちである。
- 人との和を保つために、こちらから折れたり、自分の目的の達成をあきらめたりする傾向がある。
- 個人的には興味の持てない状況を、抵抗できずに受け入れてしまう傾向がある。
- 自分の感情や欲求を他人に対して、率直に表現することができない。
- 自分の欲求を追い求めるより、むしろ親しい人たちの期待にそうような行動をとることが多い。
- 自分の意志を通すことは、とても難しく感じる。
自律的・健康的なパーソナリティ
- たいていは状況に応じて自分の行動を変えることができる。
- どんな問題に直面しても、たいていは新しい観点や、時には驚くほどすばらしい解決方法を見つけ出すことができる。
- いろんな条件や状況がどうであっても、たいていは楽しく満足した生活を送ることができる。
- 自分にとって好ましくない結果になりそうな時は、うまくいくように自分の行動を変えることができる。
- 自分の目標が達成できなかった場合、たやすくやり方を変えることができる。
- 自分にとって大切である人と、たいていは思うように近づいたり遠ざかったりすることができる。
いかがでしょう?
タイプCにがっつり当てはまってしまった~!という人も大丈夫です。
パーソナリティと身体疾患の関連については、行動パターン・思考パターンを変えることで、予後が変わってくるといいます。
それには、次に紹介する「ストレスマネジメント」の実践です。
「ストレスマネジメント」とは?
ここまでで、ストレスについてだいぶ理解が深まったのではないでしょうか。
しかし、私たちの生活の中でストレスを無くすなんて至難の業ですよね。そして、心疾患やガンなどを引き起こす可能性のあるストレスに、どう立ち向かっていけばいいのか分かりません。
それを解決する方法が、「ストレスに強い自分に改造する」ことです。
自分のストレスを自覚して、それと上手に付き合っていくことを「ストレスマネジメント」と言います。
ストレスマネジメントには、いくつかの構成要素があり、大きく外的変数と、内的変数に分けられます。
しかし、外的変数とは、ストレッサーのことで、ストレッサーを変えることは難しいというのはご存じのとおりです。
ですので、ストレスマネジメントでは、内的変数、つまり自分自身を変えていくという取り組みとなります。
内的変数は、下の3つに分けられ、本書では、それぞれ「力まず」「避けず」「妄想せず」という方法を提案されています。
- 認知過程への介入(妄想せず)
- 対処技法への介入(避けず)
- ストレス反応への介入(力まず)
それぞれの方法として、数多く紹介されていますが、ここでは、それぞれ1つずつ効果が高いとして紹介されている方法を紹介させていただきます。
力まず
ストレス反応への介入には、「リラクセーション」が非常に効果が高いとのことです。
リラクセーション
ただののんびりした状態ではなく、ストレスという普通でない心身の状態と、逆の特徴をもつ、やはり普通でない状態。
筋肉の弛緩、ヨーガ、瞑想、催眠などが含まれる。
リラクセーション反応を起こす方法
- 意識のコントロール(自律訓練法、瞑想)
- 身体の形のコントロール(ヨーガ、座禅、気功法)
身体にゆがみが生じている人は、パーソナリティにも特徴が現れます。 - 生体信号のフィードバックによる中枢制御(バイオフィードバック)
抹消臓器の状態を音や光などの信号に変えて意識化できるようにする方法。 - 抹消からのインプット(ヒーリング音楽、アロマテラピー、自然など多岐にわたる)
リラクセーション反応のやり方
本書で、リラクセーション反応を起こす方法の一つとして、下のやり方が紹介されています。
上の「意識のコントロール」に属するもので、比較的簡単に習得できる「呼吸の数を数える方法」です。
これを背筋を伸ばして行うようにすることで、「身体の形のコントロール」する要素を入れた方法です。
まず横になるかイスに楽な姿勢で腰をかけます。
身体の力を十分に抜き、姿勢に偏りがないようにしてから、ゆったりとした腹式呼吸をしてください。「吸って、吐いて」で1,「吸って、吐いて」で2・・・というように、10まで数えていきます。途中でいくつまで数えたか分からなくなったら、静かにまた1に戻って数えなおしましょう。
これは、非常に単純な作業ですので、必ずと言ってよいほど気持ちがそれてきます。「夕食は何食べようかな」「ああ、あれを早く片付けなくちゃいけなかったな」など、気になっていることが浮かんできます。そうすると、不思議なくらいいくつまで数えたか分からなくなります。そうなったら、また1に戻るのです。
これを、1回あたり5~10分、1日に1、2回行うようにしてください。
簡単そうでしょ。
実際にやってみると、本当にここに書かれている通りに気持ちがそれますんで、あせらずに1に戻るだけです。
リラクセーションは貯められる
リラクセーションが、ストレスと逆の心身の状態、ストレスがたまるのと同じように、リラクセーションもためることができます。
ストレスは、それ自体は大きな問題ではなくても、慢性的に続くものは、非常に影響が大きくストレス借金がどんどんたまります。
ところが、リラクセーション実習を1日10分でも続けると、リラックスした状態がたまってストレス借金を返済した上に、リラックス貯金が増える。そうなると、新たなストレッサーがかかっても余裕で乗り切れる。
避けず
対処技法への介入には、「セルフモニタリング(自分を客観化してみる)して集めた情報を元に行動アセスメントを行う」ことです。
行動アセスメントをすることで、認知行動療法は始まります。
やり方は、したのようなものです。
セルフモニタリング
記録用紙を準備して、「状況」「感情」「思考」に分けて書き留めます。これをある程度の期間続けていけば、自分を客観的に見ることができます。
下のようなものです。
行動アセスメント(認知行動療法)
認知行動療法の気を付けるポイントを2つピックアップして紹介します。
ゆっくり少しずつ
通常、不安は15~20分も持続すると、ピークを過ぎて下がり始め、1時間や1時間半ぐらいかければ、自然に不安はゼロになると言います。しかし、不安がゼロになる前にこれを途中で避けると、避けた瞬間に不安は大きく下がりますが、不安がゼロになるという体験ができないため、また起こるのではないかという不安を完全に払拭することはできません。
この、不安が下がり始めること、不安がゼロになるという経験することで、症状が回復していきます。
拮抗反応の利用
「拮抗反応」とは、不安や緊張と相容れない身体の状態があって、そういう状態を作り出せば不安や緊張が起きにくいだろうという発想です。
最も代表すべきものがリラクセーションで、運動、食事、自己主張、セックスなども緊張状態と相容れないものとなります。
自己主張でいうと、自分の思ったことを言う練習をするだけで、日ごろの緊張レベルが下がっていくとのことです。
妄想せず
認知過程への介入には、マインドフルネスが有効です。
マインドフルネスとは
今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚して、それに対する思考や感情には捉われないでいる存在の有様を意味する言葉。
私たちが、対象を知覚する際には、通常ほぼ自動的に解釈したり、評価する思考が起こる。
しかし、そのほとんどが、好き嫌いなどの個人的なバイアスがかかっているため、現実をありのままに知覚することが非常に困難。思考や感情は現実そのものではなく、心の中の出来事にすぎない。
マインドフルネスでは、一瞬一瞬対象を感知したところで止めて、対象に対する勝手な解釈も、それと関連した自己イメージも作り上げないようにすることを実践していく。
なぜ今の瞬間なのか
余分な思考や感情が、過去か未来からしかやってこないという事実から。
今の瞬間に意識を集中する方法
- スローモーション
- 実況生中継
- 感覚の変化を感じる
マインドフルネスのやり方
本書では、今の瞬間に意識を集中する方法として、朝の身支度の際の歯磨きを例に挙げられています。
歯磨きの際の自分の動作を、1つ1つ頭の中で言葉にしてみます。
「今、右手を伸ばしました。歯ブラシを取りました。歯ブラシにペーストを付けました。口に入れました。右上、右下、左上、左下、右上、右下、水をくみました。水を口に含みました。ゴロゴロ、ペッ。ゴロゴロ、ペッ」と全部言葉にしてやってみましょう。
簡単ですね。これを続けるだけで、下のようなメリットを得ることができるのです。
これは、やらない理由が見つかりませんね。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスが脳にどんな変化を起こすのか、について非常におもしろい研究が紹介されています。
マインドフルネスを10年、20年と継続して実施した人の大脳皮質の厚みを、そうでない人と比較したいところ、前頭前野背部(感情・思考に対する注意といった機能)
に差が見つかりました。それは、通常老化によって起こる脳の萎縮が起こっていないというのです。
これは、マインドフルネスがアンチエイジングにもなっているということです。
すごいですね。マインドフルネス。
まとめ
いかがでしょうか?
ストレスというものを、理解できたような気がします。
そして、瞑想を始めとした「リラクセーション」「マインドフルネス」といった簡単にお金もかけずにできる方法を実践して、「ストレスに強い自分に改造する」を実践していきます。
本書では、ここで紹介した話のほかにも、ストレスマネジメントの方法が紹介されていて、大変ためになりますので、興味のある方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。
また、ストレスについては、「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」も要約させていただいております。こちらも大変ためになりますので、興味をある方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」人生を変えた名著【要約】
こんにちは!じまろーです。 私は、体調をくずしているときに出会い、この本に救われました。 まず最初に、一つの衝撃的な研究結果を紹介します。 1998年に、アメリカで3万人の成人を対象に行わ ...
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