こんにちわ!じまろーです。
メンタルと消化活動の関係は、いろいろな研究で確認されています。
マインドフルに、ゆっくり楽しみながら食事をすることの重要さは下の記事で詳しく紹介していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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しかし、メンタルと身体の働きの関係が、つながっていると頭でわかっていても実際に目に見えないものである限り、自分の中で確信にならず、少しくらいいいかと、マインドフルイーティングをさぼりがちです。
食事中にスマホを見ないまでも、頭の中は、ごはん終わったら何しよう?今週の休みの計画はどうだった?などの考えが、次から次へと現れて、食事の内容を覚えていないこともしばしばです。
そんなとき、実際に肉眼で、ものを食べたときの胃がどのように動くかを観察した医者がいました。本内容は下の本を参考にしています。
この記事は、下のような人に向けて書いています。
こんな方におすすめ
- 胃カメラはいつも空腹でするけど、食べ物が入った時の胃はどんな感じですか?
- イライラしたり怒りながら食事するとだめなんですか?
- 胃の中を肉眼で観察ってどうやったんでしょう?
おなかに開いた穴から胃の中を初めて見た男
胃の中を観察したのは、ウィリアム・バーモントという軍医です。
ウィリアム・バーモント(1785~1853)
アメリカ・ミシガン州、カナダ国境にほど近い数キロ四方の小さな島、ノース・マキナック島で軍医をしていた。
当時は、アメリカと英国の戦争の真っただ中で、米国軍医として島の医療を一手に引き受けていた。
1822年6月、島の小さな毛皮屋の地下室で、銃が暴発し、近くにいた青年の腹に命中してしまいました。そこに呼ばれたバーモントは、倒れている青年を見て、とても命を救うことはできないと思いました。銃弾は腹部の一部をはぎとり、肋骨2本を折、左肺や横隔膜がむき出しになり、胃の壁を貫通していたのです。
ところが、奇跡が起きました。何週間も続いた死の淵から青年は回復したのです。その青年の名は、アレクシス・セント・マーチン(当時19歳)
マーチンの回復力はすばらしいものがあり、10カ月でほぼ完治しましたが、1つだけ完治しない部分が残されました。傷ついた胃の端を肋骨間が癒着し、胃瘻(いろう)ができてしまったのです。胃は穴が開いたままになり、指を押し付けるとポケットの中をのぞくように胃の内部が良く見える。
この胃に空いた1つの穴が、医学界に大きな波紋を投げかけることになったのです。
胃の中の観察日記
事故から3年後、バーモントはマーチンの承諾を得て、胃にあいた窓から見える胃の内部のできごとを克明に観察をはじめました。
マーチンがパンを飲み込むと、胃の内面は、ピンク色から鮮やかな赤色に変わり、一斉に露のような液体が吹き出る。みるみるうちに、肉さえ溶かしていく液体。
バーモントは、その液体を回収した。それが「胃液」であった。断食後に取り出した胃液は、澄んでいて、ほとんど無臭で、なめるとかすかに酸味があった。
バーモントは、食物に絹糸を結んで、マーチンの胃の中に投下し、その食物が消化に要する時間を測定しました。
食品 | 調理法 | 消化時間 |
---|---|---|
米 | 温める | 1:00 |
パン(小麦) | 焼く | 3:30 |
ミルク | 煮る | 2:00 |
生 | 2:15 | |
卵(新鮮なもの) | かたゆで | 3:30 |
半熟 | 3:00 | |
焼く | 2:15 | |
生 | 2:00 | |
鮭、鱒(新鮮なもの) | 煮る、焼く | 1:30 |
牛肉 | 焼く | 3:00 |
豚肉 | 焼く | 3:15 |
チキンスープ | 煮る | 3:00 |
リンゴ | すっぱくて熟したもの | 2:00 |
甘くて熟したもの | 1:30 | |
人参 | 茹でる | 3:15 |
じゃがいも | 茹でる | 3:30 |
この表を見るだけでも、おもしろいです。
- 米とパンで消化時間が大きく違う
- 魚と肉で消化時間が大きく違う
- 人参やじゃがいもなどの野菜が思ったより消化に時間がかかる。
- ミルクって液体なのに2時間かかる
- 同じものでも調理法で消化時間が変わる
また、バーモントは、観察を通して、次のことも発見してます。
- コーヒー、紅茶、アルコールなど刺激物が胃に悪影響を及ぼすこと
- 胃液は、食物のない胃の中では存在しないこと
- 水や液体は胃の中にとどまらず速やかに胃を通過すること
あれ?ミルクって消化に2時間かかるって言ってたのに、液体は速やかに胃を通過するってありますね。なぜでしょう。
それは、ミルクは、胃酸によって固まり(凝集)、ヨーグルト状になるんですね。なので胃の中にとどまるということなんです。
消化活動とメンタルの関係
このバーモントの実験の中で、一番印象に残ったのは、下の発見です。
バーモントが直接、胃の穴から食物を入れて、その消化の様子を観察していると、マーチンは食べた感じがしないのでやめてほしいと言い出し、やがて怒り出した。すると、胃はみるみる青ざめ、食べた肉は機嫌のよい時に比べ、2倍も長く胃の中にとどまっていた。
つまり、心理的な影響が胃の消化に大きく作用することを発見したのです。
胃がみるみる青ざめるという事実は、衝撃です。
イライラしたり、怒ったり、マルチタスクしたりしながら食事することは本当にだめなんだと心から納得することができました。
まとめ
この実験の結論として、バーモントは次のように推論しています。
胃の活動の目的は、食物と胃液を混合して均質な粥状の半液体をつくることにある。そしてそのプロセスは、胃の中にある化学成分による化学変化である。化学変化を担う胃液の成分は、酸と、人間の感覚や化学実験ではとらえきれない何らかの元素からなる。
「人間の感覚や化学実験ではとらえきれない何らかの元素」というのが、その後、タンパク質分解酵素=ペプシンであることが1936年にドイツのシュワンによって発見されています。
また、現在では、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使って、胃酸が分泌されるメカニズムも観察され解明されています。
胃の内壁には胃液を分泌する無数の穴があります。その穴は、胃酸を分泌する穴や、胃を守る粘液を分泌する穴があり、食事をはじめると、まずホルモンを分泌するガストリン細胞が胃の細胞を刺激し、塩酸やペプシンを吹き出します。それと同時に胃壁を守るための粘液も分泌され、胃液が胃壁に到達するころには、胃壁を守るバリアーが張り巡らされている。
この消化活動は、交感神経と副交感神経によってもコントロールされていることも分かっている。
人体は本当に奇跡の塊ですね。
この身体の働きを十分に機能させるために、その身体の持ち主である私たちが、気を使っていく必要もあると思います。
まずは、イライラしながらの食事、スマホみながらの食事をやめて、消化中に胃が青ざめるようなことのないようにしたいですね。