こんにちは!じまろーです。
わたしは、カフェインが苦手です。
午後3時を超えてカフェインを摂取すると、夜ねむれなくなります。
しかし、コーヒーの香りは好きです。一口飲むと、ふ~っとリラックスできた気になります。
そして、なんといってもコーヒーは健康によいのです。
そんな理由からおいしいカフェインレスコーヒー探しに余念がないのですが、いろいろ調べてみると、コーヒーに発生するカビ毒が、からだに有害なのでは?という記事をよくみます。
カフェインレスコーヒーを愛するじまろーとして、ここらへんをはっきりさせたいと調べました。
こんな方におすすめ
- カビ毒って?
- コーヒーのカビ毒は気にする必要あるの?
- カフェインレスコーヒーやノンカフェインコーヒーはカビ毒に汚染されやすい?
- 安心でおいしいカフェインレスコーヒーを探している。
かび毒とは
かび毒とは、植物病原菌であるかびや貯蔵穀物などを汚染するかびが産生する化学物質で、人や家畜の健康に悪影響を及ぼすもの。かび毒は "マイコトキシン(mycotoxin)" と呼ぶこともあります。
コーヒー豆のカビ毒としては、アフラトキシンとオクラトキシンが知られています。
アフラトキシンとは
アフラトキシンは、アスペルギルス等のかびが作り出す毒の一種で、食品での含有が問題となるのは、アフラトキシン B1、 B2、G1、G2、M1、M2 の6種類。我が国のアフラトキシンの摂取経路は主にナッツ類等。また、上記6種類のアフラトキシンのうち、アフラトキシン B1 が最も強い毒性をもつ。
食品中のアフラトキシンは安定性が極めて高く、通常の加熱調理条件等ではほとんど分解されない。
アフラトキシンの概要について(食品安全委員会)最終更新日:平成23年3月31日
つまり、熱に強い遺伝毒性をもつ「アフラトキシン」は、焙煎や熱湯で淹れても死滅することはなく、そのまま摂取されるため、アフラトキシンにて汚染されていないものを選ぶということが必要となります。
アフラトキシンの毒性
食品衛生法で規制の対象としているアフラトキシン B1 は、遺伝毒性が関与する強い発がん物質である。このため、摂取量を可能な限り低減すべきとされ、耐容摂取量は設定されていない(JECFA(1998)、食品安全委員会(2009))。
なお、食品安全委員会は総アフラトキシンの評価においても、摂取量を可能な限り低減すべきとし、耐容摂取量の設定は行っていない。
アフラトキシンの概要について(食品安全委員会)最終更新日:平成23年3月31日
アフラトキシンB1の国内規制値
アフラトキシンは、遺伝毒性のため、耐容摂取量はありません。つまり可能な限り摂取しないでね。というものです。
その上で、下の基準値が設けられています。
アフラトキシンは、食品衛生法により全食品を対象とし、検出されてはならないとされ、アフラトキシンB1 を指標として 10μg/kg を規制値として管理。
アフラトキシンの規制については平成23年3月31日付通知「アフラトキシンを含有する食品の取り扱いについて」により、アフラトキシンB1から総アフラトキシン(アフラトキシンB1,B2,G1,G2の総和)に変更されました。
アフラトキシンの概要について(食品安全委員会)最終更新日:平成23年3月31日
規制値と、人体の影響については、下の情報から分かります。
もし1日に体重1kg当たり1ngのアフラトキシンB1を、毎日一生摂取したとしたら、健常人では 1000万人に1人、B型肝炎キャリアでは 1000万人に30人の確率で肝臓ガンになると予測されている。
かびとかび毒 - 農林水産省
体重60kgの人で、60ng=0.06μgを毎日一生摂取すると健常人で、0.0000001%の確率で肝臓ガンになるということです。
ここで、規制値10μg/kgの妥当性を考えます。
コーヒー1杯あたりの、焙煎コーヒー豆は約15gで、インスタントコーヒーは約3gとなるので、
- 焙煎コーヒー豆:15g/1杯×10μg/kg =0.15μg
- インスタントコーヒー豆:3g/1杯×10μg/kg =0.03μg
単純に規制値だけで考えると、一日の摂取重量が少なくなるインスタントコーヒーにメリットがあります。
しかし、どちらも体重60kgの人の毎日摂取したときの発病確率から考えると、十分安心の規制値と言えるのではないでしょうか。
オクラトキシン(OTA)とは
オクラトキシンAは、 アスペルギルス・オクラセウスなどのかび類がつくるかび毒。穀類及びその加工品、コーヒー、ココア、ビール、ワインなど、さまざまな食品で汚染の例が報告されています。国際がん研究機関(IARC)では、オクラトキシン A を「人に対して発がん性の可能性がある」グループに分類しています。
カビとカビ毒(食品安全委員会):2013年9月12日
オクラトキシンAの毒性
動物試験によって腎毒性を示すことが知られており、げっ歯類での発がんも報告されています。
カビとカビ毒(食品安全委員会):2013年9月12日
オクラトキシンAは、非遺伝毒性のため、耐容摂取量の設定が可能です。
オクラトキシンAの耐容摂取量
食品安全委員会では、委員会自らの判断で行うリスク評価を行い、2014(平成 26)年 1 月に評価結果を公表。
・発がん性に関する耐容一日摂取量(TDI)を 15 ng / kg 体重 / 日と設定。
カビとカビ毒(食品安全委員会):2013年9月12日
つまり、体重60kgの人の場合、1日あたり、0.9μgとなります。
オクラトキシンAの国内規制値
オクラトキシンAの日本の規制値の設定はありません。
EUでは、基準値が設けられており下のとおりです。
インスタントコーヒーの方が規制値が高くなっているのは、インスタントコーヒーの方が、製造過程の抽出(ドリップ)時に挽いた豆の廃棄部分の重量分だけ、焙煎豆よりも軽くなるため、重量比が高くなるためと考えられます。コーヒー1杯あたりの、焙煎コーヒー豆は約15gで、インスタントコーヒーは約3gとなりことからも分かります。
国内規制値の妥当性を考えると、
- 焙煎コーヒー豆:15g/1杯×5μg/kg =0.075μg
- インスタントコーヒー豆:3g/1杯×10μg/kg =0.03μg
体重60kgの人の1日当たりの耐容摂取量、0.9μgより十分小さく安心の規制値と考えられます。
コーヒー1杯の摂取重量が小さくなるインスタントの方がより安心の規制値となっています。
実際はかび毒がどれくらい含まれている?
厚生労働省調査
2004-2009に「食品汚染のカビ毒の実態調査ならびに生態毒性影響に関する研究」として、焙煎コーヒーとインスタントコーヒーをカビ毒調査実施しています。
インスタントコーヒーでは、126点調査して、測れる限界の0.1μg/kg以上検出されたものが、124点あり、その中の最大で4.23μg/kg含まれるものがあり、平均は0.71μg/kgですよ。ということです。
焙煎コーヒーは84点中、46点が0.1μg/kg以上となり、最大が2.75μg/kg、平均が0.18μg/kgということです。
どちらも最大値でもアフラトキシンの規制値、オフラトキシンAのEU規制値以下となりますが、以下の2点が気になります。
- 焙煎コーヒーよりもインスタントコーヒーの方が検出量が大きい
→インスタントコーヒーの製造過程の抽出(ドリップ)時に挽いた豆の廃棄部分の重量分、焙煎豆よりも軽くなり、重量比で検出量が大きく見えると考えられる。 - 最大値と平均値に大きな差がある。
→きちんと管理された豆と管理されていない豆で、検出量に大きな差が出ると考えられる。
インスタントコーヒーはかびやすい?
まず、簡単にインスタントコーヒーの製造工程を説明すると、下のようになります。
簡単な流れ
- 生豆
- 焙煎工程(焙煎コーヒー豆状態)
- 抽出工程(コーヒー液をつくる)
- インスタント工程(フリーズドライ/スプレードライ法)
つまり、インスタントコーヒーは、一度、焙煎コーヒー豆にしてから作られます。
ここで、インスタント工程後の、コーヒーがかびるかどうかは、KEY COFFEEのQ&Aで下のように回答されています。
インスタントコーヒーは水分が少ないので、カビが生えたり、腐敗することはまずありません。
よくいただくご質問(Q&A):(KEY COFFEE)
ここからも、インスタントコーヒーが焙煎コーヒーよりも、カビやすいということはありません。
実際のカビ毒検査
geefeeというサイトでの調査結果
また、下のサイトで日本で市販されている10種のコーヒー豆(ブルーボトルコーヒー、スタバ、タリーズ、星乃コーヒー、KEY COFFEEなど)で、ISO認定機関にてアフラトキシンとオクラトキシンのカビ毒検査を実施されています。下の記事が2017年のものとなり、参考になります。
「geefee LAB検査シリーズ1~身近なコーヒー豆のカビ毒検査報告~」
この結果からは、日本の市販のコーヒー豆からは、10種すべてのコーヒーで、アフラトキシン、オクラトキシンAともに0.5 μg/kg(検出限界量)以下という結果となっています。
これは、アフラトキシンの規制値(10 μg/kg)、 オクラトキシンAのEU規制値(5 μg/kg)から大きく下回る結果となっており、安心の結果ですね。
こちらのサイトで調査されているコーヒ―豆はどれもしっかりしたメーカーのもので、管理もきちんとされていることが分かりますね。
輸入コーヒー豆のマイトキシン汚染調査(昭和57年)
古い論文ですが、昭和57と58年のコーヒー豆を使ったカビ毒汚染調査が実施されています。
- 輸入した生コーヒー豆22検体のうち、アフラトキシンを検出したものはなかった。
- オクラトキシンは、22検体中、4検体で検出された。検出量は、9.9~46μg/kg
- 白米とコーヒー豆を同じ条件で培養したところ、白米の方がアフラトキシン、オクラトキシン共に産生量が多い。
昭和57年というかなり昔のコーヒー豆からはでも、アフラトキシンは検出されていません。
オクラトキシンは、検出されています。日本ではオクラトキシンの規制値はありません。EU規制値でも生豆の規制値がないためEU規制値との比較はできません。
2つの調査結果からの考察
この2つの調査結果からの考察です。
- かなり古い豆からも日本に輸入されるコーヒー豆に、アフラトキシンに汚染された豆は少ないと考えられる。
- オクラトキシンの規制値はないため、少なくとも昔はオクラトキシンに汚染された豆が流通していた。
- つまり、きちんと管理された豆を選ぶことで、カビ毒の心配を減らすことができる。
ということではないでしょうか。
カフェインレス/デカフェは安心?
それでは、ついにカフェインレス(デカフェ)コーヒーとカビ毒の関係についてです。
まず、いやなデータは下のものです。
Incidence, Level, and Behavior of Aflatoxins during Coffee Bean Roasting and Decaffeination
この実験では、下の3点が確認されています。
- コーヒー豆は焙煎することで、アフラトキシン濃度が42.2%~55.9%減少する。
- カフェイン抜きの生コーヒー豆と、カフェイン抜きの焙煎コーヒー豆では、最大でそれぞれ24.29μg/kgと16.00μg/kgのアフラトキシンが検出された。
- カフェインを含む液体培地では、アフラトキシンの増殖は減少する。
カフェインがアフラトキシンの抑制効果があるというものですね。
下の論文では、カフェインのオクラトキシンAの抑制効果について確認されています。
オクラトキシンAの生育条件が整った場合、コーヒー豆中のカフェインにより菌の生育は多少抑制されるものの、菌の生育に適した環境が持続するかぎり、菌は十分に生育し、毒素産生に
よるオクラトキシンA汚染を招くことが予想される。
一方、農林水産省のリスクプロファイルシートでは、脱カフェイン工程でオクラトキシンAが90%減少することが記載されています。
コーヒーの脱カフェイン工程では(オクラトキシンAが)約 90%減少。
食品安全に関するリスクプロファイルシート(オクラトキシンA):農林水産省_平成21年3月10日
ここで、もう一度、カフェインレスコーヒーの製造工程を確認します。
簡単な流れ
- 生豆
- 脱カフェイン工程
- 焙煎
これらから、考えられることは以下です。
まとめ
いかがでしょうか?
カフェイン入りのコーヒーは、きちんとしたメーカーの豆であれば、焙煎豆、インスタントに関わらず心配なしと判断できます。なんせ、白米よりもカビ毒発生しにくいですからね。
カフェインレス/デカフェの場合、じまろーの結論は下のとおりです。
有名な大きな会社で管理された豆は信頼がおけます。全数検査はしていなくても抜き打ち検査でもカビ毒が出てしまったら、大きな問題となるため、最終製品にカビ毒が含まれる可能性は限りなく低いと考えられるからです。
日本の個人店でもハンドピックなどで、カビに汚染された豆を取り除いている素晴らしい店も多くあります。ただし、デカフェの豆のカビは見た目で判断しにくいという情報もありますので、デカフェについてだけでも、有名メーカー製品が安心ではないかと思うのです。
これから、選んだコーヒーは、これ!
マウントハーゲン オーガニック カフェインレス インスタントコーヒー
有名ですが、ホットでもアイスでも飲みやすくて、リーズナブル。愛飲しています。
と、じまろー基準をすべて満足。
その他にもいろいろなカフェインレス/デカフェのコーヒーは多く、最近はかなり日本でも市民権を得てきた印象ですね。下の記事で比較もしてるので、ぜひご覧ください。
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