ノンカフェイン

押さえておくべき化学物質不使用のコーヒーのカフェイン除去方法3つ。できる企業は世界でそれぞれ1社。

2023年4月30日

こんにちわ!じまろーです。

デカフェのコーヒーにはまっています。本当においしいデカフェのコーヒーが多く、大変すばらしい時代が来たなぁと思っています。

デカフェを飲むときに、普通のコーヒーにはない記載項目があります。

それが、「カフェイン除去法」です。

デカフェのコーヒー豆は、下の手順で作られます。

収穫(コーヒーチェリー)→ 精製(生豆)→ カフェイン除去 → 焙煎

普通のコーヒー豆と比べると、カフェイン除去の工程がひとつ多くなります。

カフェインを除去する方法はいくつかあって、それぞれに特徴があるので、どう違うのか、またどう選べばよいのか分かりませんよね。

今回は、カフェイン除去法とそれぞれの特徴についてまとめてみました。今後のデカフェのコーヒーを選ぶときに参考になれば幸いです。

こんな方におすすめの記事です

  • カフェイン除去製法ってどういうものがあるの?
  • スイスウォータープロセスとマウンテンウォータープロセスの違いは?
  • どのカフェイン除去製法のコーヒーを選べばいい?

  

カフェイン除去の方法

カフェインを除去する方法は大きく下の3つがあり、その中でも細かく分けられ、合計5つの方法があります。

カフェイン除去の方法

  • 有機溶媒法
  • ウォータープロセス
    ・スイスウォータープロセス
    ・マウンテンウォータープロセス
  • 二酸化炭素抽出法
    ・超臨界二酸化炭素抽出法
    ・液体二酸化炭素抽出法

それぞれについて説明します。

  

有機溶媒法

有機溶媒法は、その名の通り溶剤など化学物質を使用したカフェイン除去方法です。

直接、生豆が薬品に触れるため安全性が問題視されています。

ただ、この製法でカフェイン除去したものは日本では輸入が認められていませんので、無視してOKです。

まず、出会うことはないと思われます。

  

ウォータープロセス(水抽出法)

ウォータープロセスは、水にカフェインだけを溶け出させてカフェインを除去する方法です。化学物質を一切使わない信頼できるカフェイン除去方法です。

カフェインのみを取り出すため、風味豊かなカフェイン抜きのコーヒー豆ができます。

下の2つの方法があります。

・スイスウォータープロセス
・マウンテンウォータープロセス

それぞれについて以下に説明します。

  

スイスウォータープロセス

スイスウォータープロセスの技術は、水抽出の一つとして、1930年代にスイスで開発されたものですが、商業化したのは、カナダ、コロンビア州(バンクーバー)のスイスウォーター(Swiss Water Decaffeinated coffee Inc.)社です。

世界でスイスウォータープロセスを行っているのは、この1社のみです。(スイスウォーター社に確認済み)

ですので、コーヒーのパッケージにスイスウォータープロセスを記載のあるものは、全てカナダのコロンビア州を経由して日本に来たものです。

スイスウォータープロセスが、どのような工程で行われるかは、英語ですが下の動画が参考になります。

動画から、工程を簡単に説明すると下のとおりです。

スイスウォータープロセス

  • 水に生豆を浸してカフェインを含む全ての水溶性のうまみ成分なども水に移す。
    この時に使用した生豆は堆肥などに使用。コーヒーには使わない。
  • その水溶液から、カーボンフィルターを通してカフェインのみを除去。
  • このカフェイン以外の成分が飽和状態で溶け出した水溶液に、生豆を浸すと、カフェインは溶け出すが、それ以外の成分は、水溶液に溶け出すスペースがないため、溶け出ない。
  • 4つのタンクに生豆を入れ、②の水溶液を循環し、4回水溶液を通したタンクから豆を乾燥工程に移し、空になったタンクには新しい豆を入れ、順番の後列に回ってまた水溶液を循環させる。この繰り返し。
  • 4回循環液を通すことで、カフェインが99.9%除去された豆が乾燥され、最終製品となる。

  

マウンテンウォータープロセス

マウンテンウォータープロセスも、水抽出の技術の一つで、化学物質を一切使用しないカフェイン除去方法です。私の調べる限りでは、メキシコのDescamex社(Descamex. Descafeinadores Mexicanos)がほとんどのシェアを持っているのではないかと思われます。

コーヒーパッケージにマウンテンウォータープロセスの記載があれば、ほぼメキシコ経由で日本に運ばれてきていると考えてOKです。

マウンテンウォータープロセスが、どのような工程かは、英語の下の動画が参考になります。

動画から、工程を簡単に説明すると下のとおりです。①から③までは同じです。

マウンテンウォータープロセス

  • 水に生豆を浸してカフェインを含む全ての水溶性のうまみ成分なども水に移す。
  • その水溶液から、カーボンフィルターを通してカフェインのみを除去。
  • このカフェイン以外の成分が飽和状態で溶け出した水溶液に、生豆を浸すと、カフェインは溶け出すが、それ以外の成分は、水溶液に溶け出すスペースがないため、溶け出ない。
  • 1つのタンクで、温度と圧力をかけて攪拌しながらカフェインを抽出。
  • この工程で、カフェインが99.9%除去された後、豆が乾燥され、最終製品となる。

  

スイスウォーターとマウンテンウォーターの違い

同じウォータープロセスのカフェイン除去法ですが、違いは以下の2点くらいかと思われます。

  • スイスウォータープロセスは、4つのタンクを使用して順番に水を循環させてカフェインを抜き出す。
  • マウンテンウォータープロセスは、1つのタンクで、加温、加圧、攪拌してカフェインを抜き出す。
  • スイスウォータープロセスは、カナダのコロンビア州(バンクーバー)で行われている。
  • マウンテンウォータープロセスは、メキシコのチアパス州のメキシコ最高峰の山、「ピコ・デ・オリザバ」の麓で行われている。

どちらはいいとは言えませんが、どちらもきれいな水で化学物質を使わずにカフェインを除去されていて、甲乙はつけがたいと思われます。

  

二酸化炭素抽出法

二酸化炭素抽出法とは、二酸化炭素の特性を利用してカフェインのみを除去する方法です。原理は下のようなものです。

二酸化炭素抽出法

二酸化炭素は、非極性(分子内で電気双極子をもたない)となる。非極性溶媒は、炭化水素類などの非極性分子を溶解する特性を持つため、非極性成分であるカフェインが溶解される。

コーヒー豆に含まれるカフェイン以外の非極性成分(脂質やフェノール類など)は、二酸化炭素抽出法の特定の温度、圧力条件では溶解しないか、わずかに溶解する程度となるため、カフェインのみが選択的に抽出可能となる。

二酸化炭素抽出法には、下の2つがあります。

・超臨界二酸化炭素抽出法
・液体二酸化炭素抽出法

  

超臨界二酸化炭素抽出法

元々、超臨界二酸化炭素抽出法が、1974年に開発されました。この抽出法の概要は下のようなものです。

二酸化炭素に一定以上の圧力と温度を加えることで、気体と液体の両方を兼ね備えた超臨界という状態となり、この状態では二酸化炭素がコーヒー豆内部へ浸透性が高くなるため、短時間でカフェインのみを抽出できる。
・温度:80℃~90℃
・圧力:250bar
・時間:8~12時間

この方法は、短時間で脱カフェイン処理ができるというメリットがある一方、高温、高圧力下環境のため、豆へのダメージも出ることが分かっています。

  

液体二酸化炭素抽出法

そこで開発されたのが、液体二酸化炭素抽出法です。この製法は、ドイツ、ブレーメンのCR3 Coffee Hermsen社で開発されました。

この抽出法は特許製法となるため、CR3社のみで実施されている製法と思われます。

二酸化炭素を水に溶かした溶媒でカフェインを除去する方法。超臨界二酸化炭素抽出法と比べて、温度と圧力を低く設定できるため、時間がかかるが、豆に優しい条件で、味・香り・クロロゲン酸値などが通常のコーヒーに近くできる製法
・温度:20℃~25℃
・圧力:65~70bar
・時間:120~150時間

今では、二酸化炭素抽出法では、この液体二酸化炭素抽出法が主流となっているようです。

コーヒーパッケージに液体二酸化炭素抽出法の記載があれば、ドイツ経由で日本に運ばれてきたと考えられます。

  

まとめ

いかがでしょうか。

美味しいデカフェの製法としては、下の3つを抑えておけばよいと思います。3つとも化学物質を一切使用しない安全なカフェイン除去法です。

スイスウォータープロセス(Swiss Water社:カナダ)
マウンテンウォータープロセス(Descame社:メキシコ)
液体二酸化炭素抽出法(CR3社:ドイツ)

この3つのプロセスは、それぞれ世界に1つずつしかできる会社がありません。

それぞれの企業は下図の位置となります。

ここからは、私の印象なのですが、スターバックスやタリーズなど、アメリカの企業の場合、デカフェ製法は近くにあるスイスウォーターやマウンテンウォーターが多く採用されているように感じます。

また、illyや、マウントハーゲンなどは、ヨーロッパの企業なので、CR3社で液体二酸化炭素抽出法でカフェインを除去している企業が多いですね。

カフェイン除去方法も地理的な要素を考えると面白いですね。

肝心な味については、同じ豆で違うカフェイン除去方法で、焙煎が同じという豆がなく厳密な比較はできません。

ただし、3つのどの製法でカフェイン除去したコーヒーもおいしいです。

次は、焙煎店は違うけど、コロンビアで、カフェイン除去法が違う豆で飲み比べたいと思っています。

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